加工前の人工水晶
加工前の人工水晶
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水晶発振器
水晶発振器
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 水晶デバイスは,電子機器,通信機器,光学機器など各種機器に使われている。例えば,基準周波数を取り出すために各種機器が搭載する水晶発振器は,水晶振動子と発振回路を同一パッケージに収納したものだ。

 こうした工業製品向け水晶は,過去には天然品を使う時代もあったが,現在ではほぼすべてが人工水晶である。人工水晶の1年間あたりの世界生産量は2000トンと言われており,そのうち半分以上が日本で生産されている。日本を代表する受動部品と言える。

 最近になって,受動部品をSiで置き換えようという動きがいくつか顕在化している。水晶発振器についても,SiベースのMEMS発振器が登場し,巨大市場の一角を切り崩そうとしている。迎え撃つ水晶発振器は,精度を一段と高めるなどして対抗する構えだ。

 水晶やMEMSなど発振器の動向を調べていたところ,国内の人工水晶生産拠点の一つである,セイコーエプソン・グループのエプソンアトミックスの八戸工場を訪問する機会を得た。そこで,数回にわたって,人工水晶の製造工程を紹介する。

    連載の目次
  1. 目次:人工水晶の「釜揚げ」を見る
  2. 世界の大手携帯電話機メーカーが八戸詣で
  3. 高品質の人工水晶は,高品質の「種」から生まれる
  4. あたかもシャンデリア,室温40℃の中の「釜揚げ」