IBM社のBlue Gene。この筐体全体で5TFLOPSを実現可能という。ただし,展示会では700GFLOPS分の稼動をデモンストレーションした。
IBM社のBlue Gene。この筐体全体で5TFLOPSを実現可能という。ただし,展示会では700GFLOPS分の稼動をデモンストレーションした。
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 米IBM Corp.は,同社のスーパーコンピュータ「Blue Gene」の最新の開発ロードマップを公表した。2010年までに浮動小数点演算のピーク性能が1PFLOPS(peta floating point number operations per second)の「Blue Gene/P」,2010~2012年には同10PFLOPSの「Blue Gene/Q」の開発を目指す。2006年6月8日に東京都内で開催した同社のプライベート・セミナー「IBM Deep Computing Innovation Forum」で,米IBM Research,Vice PresidentのTilak Agerwala氏が明らかにした。同社はこれまで,Blue Gene/Qの目標ピーク速度を3PFLOPS程度としていた。今回,目標値が10PFLOPSに増えた格好だ。

 現時点でのBlue Geneの最速製品は,米Lawrence Livermore National Laboratory(LLNL)に導入されている「Blue Gene/L」という製品。スーパー・コンピュータのランキングを発表しているWWWサイト「TOP500 SUPERCOMPUTER」は,2005年11月時点のリストで,Blue Gene/Lをピーク性能360TFLOPSで最高性能の座に据えている(関連記事)。今回の10PFLOPSは,その約30倍の処理速度を発揮することになる。

 日本の最速機は依然としてピーク性能40.96TFLOPSの地球シュミレータで,Blue Gene/Lに9倍の差をつけられている。現在は文部科学省が,世界一の座への返り咲きをはかろうと,2010年度に10PFLOPSの「汎用京速計算機」の開発を目指す国家プロジェクトを進めている。ただし,今回のIBM社の「増速」で,開発が計画通りに進んでも米国を超えられない恐れが出てきた。