サンディエゴ郊外にあるMediaFLO USA社のNOC
サンディエゴ郊外にあるMediaFLO USA社のNOC
[画像のクリックで拡大表示]
NOC内部の様子
NOC内部の様子
[画像のクリックで拡大表示]
画像を確認できるように,大画面の表示装置を用意する
画像を確認できるように,大画面の表示装置を用意する
[画像のクリックで拡大表示]
全米の配信局と雨雲を見ることができる
全米の配信局と雨雲を見ることができる
[画像のクリックで拡大表示]
ネットワークの監視もNOCの役割の一つ
ネットワークの監視もNOCの役割の一つ
[画像のクリックで拡大表示]
ネットワーク装置やストレージを置くデータセンターの内部
ネットワーク装置やストレージを置くデータセンターの内部
[画像のクリックで拡大表示]

 米QUALCOMM Inc.は,携帯電話機向けの多チャンネル放送サービス「MediaFLO」の運営センター(NOC:national operations center)を公開した。同センターは,米カリフォルニア州南部のサンディエゴ郊外のQUALCOMM社の本社近くにあり,数週間前に完成したばかり。「映像コンテンツの収集と編集」「コンテンツ配信ネットワークの運営」「顧客サポート」という3つの役割を担っている。

 NOCに集められる映像コンテンツは,衛星経由で送られてくる放送用コンテンツのほか,インターネット経由の動画ファイル,DVDやビデオ・テープといったパッケージ・メディアなど多種多様だ。これらをMPEG-4 AVC(H.264)形式に圧縮し,コンテンツごとにメタ・データを付与するなどして蓄積する。

 このNOCから光ファイバ網を経由して全米の配信局に番組を送信,地域ごとの映像コンテンツや広告などを挿入して配信する仕組みである。各放送局のカバー範囲は半径20km~40kmであり,カバー範囲が数kmの携帯電話網に比べると設置する局数は圧倒的に少ない。送信出力は約50kWという。米国におけるMediaFLO への投資額は,今後数年間で8億米ドルに上る。

 米国では,QUALCOMM社の子会社としてMediaFLO USA,Inc.を設立し,MediaFLO USA社が通信事業者向けにMediaFLOサービスを提供する形態を採っている。既に米国の大手通信事業者Verizon Wireless社がMediaFLOを使ったサービスを2006年内に始める予定にしているほか,同じく大手のSprint Nextel社も同センターを利用した試験を近く始めるという。

 日本では,QUALCOMM社の日本法人とKDDIが共同で準備会社「メディアフロージャパン企画」を設立している。国内でMediaFLO向けに周波数が割り当てられるかは不明だが,空き周波数を利用できるよう総務省に働きかけている。

 欧州では,英British Sky Broadcasting(BSkyB)社と共同で,技術試験を2006年夏に始めることにしている。今回の映像センターにも欧州の報道関係者が足を運び,担当者の解説に耳を傾けていた。