図1 今回の配線モジュール
図1 今回の配線モジュール
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図2 展示の様子。中央に光導波路が置いてある。
図2 展示の様子。中央に光導波路が置いてある。
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図3 同社従来品
図3 同社従来品
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 住友ベークライトは,フレキシブルな光導波路を用いた配線モジュールを試作し,「JPCA Show 2006」で信号伝送の様子を実演した(図1,図2)。主に携帯電話機などの携帯機器に向ける。配線モジュールは2つのリジッド基板とフレキシブル基板で構成しており,リジッド基板上には主に受発光素子や駆動ICを実装し,フレキシブル基板内にマルチモードのポリマー系光導波路を形成する。今回の試作品では,1本当たりの伝送速度が2.5Gビット/秒の光導波路を上り/下り光信号用にそれぞれ12本合計24本使用しており,30Gビット/秒の送受信ができるという。

 発光素子には発光波長が850nmのVCSELを利用している。フレキシブル基板内の光導波路のコア幅は35μmで,ピッチ幅は250μmである。発光波長が850nmの光を光導波路内に伝搬させた場合の損失は,0.04dB/cm。曲げ半径が10mm以上ならば,曲げによる損失はないとする。 

 同社は従来から光素子を実装したリジッド基板と,光導波路を内蔵したフレキシブル基板を組み合わせたものを試作していた(図3)。今回はリジッド基板を大幅に小さくした(図1)とする。小型化したのは,「携帯電話機などに搭載しやすくするため」(説明員)とする。携帯電話機などへの搭載は未定だという。

 会場では,フジクラなども光信号の伝送路に光ファイバを利用した配線モジュールを展示している(Tech-On!関連記事)。そのほか一部の基板材料メーカーは,用途の一例として光電混載基板への使用を挙げている高周波信号向けの基板材料を展示していた。

 今回展示されていないものの,2005年に松下電工はフレキシブル基板内に光導波路を形成したものをすでに試作し,発表している(Tech-On!関連記事)。オムロンやミツミ電機なども光配線モジュールを開発した(Tech-On!関連記事)(Tech-On!関連記事)。また三井化学はプリント配線基板間のデータ伝送用途に,1本の配線で光伝送と電気伝送ができる「光電気混載フィルム」を2005年の「JPCA Show 2005」で展示していた(Tech-On!関連記事)。