Samsung Electronics社の薄型機などに実績
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プロセス技術で低価格化を図る
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MSM7000シリーズは1チップで「エレガント」な構成
MSM7000シリーズは1チップで「エレガント」な構成
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 「BREW 2006 Conference」に先駆けて米QUALCOMM Inc.が開催した報道機関向け説明会では,W-CDMAチップセットの開発方針を解説した。同じ第3世代移動体通信方式でも,北米方式のCDMA2000はQUALCOMM社が先行しているが,W-CDMAについては後発となる。それでも,「最新機能の搭載」「高い集積力」で他社に優位に立ちたいとした。

 その例として挙げたのが,最新のW-CDMA対応の携帯電話機である。韓国LG Electronics, Inc.の「U880」,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.の「Z610」などを例に出しながら「最新機能を搭載しながら,外形寸法が米Motorola, Inc.の『RAZR』並みに薄い」と紹介した。

 現在,W-CDMA対応の同社のチップセットは,MSM6000シリーズとMSM7000シリーズの2系統がある。MSM6000系は,エントリ版の「MSM6245」から,7.2Mビット/秒のハイエンド版「MSM6280」まで4種類。ユーザーの要求に幅広く応えられる品揃えだと自賛する。

 MSM7000系の中で,2006年中にサンプル出荷を始めるというのが「MSM7200」。上り速度を数Mビット/秒まで上げられるHSUPAにいち早く対応した。基本的にはQUALCOMM社のOSで動くが,米Microsoft Corp.の「Windows Mobile」やLinuxといったサード・パーティのOSにも対応するのが特徴だ。

 MSM6000シリーズと同7000シリーズの使い分けは,「コストと集積度で比較する」(QUALCOMM社QCT Product ManagerのSandeep Pandya氏)という。集積度の点ではMSM7000が上だ。MSM6000シリーズでは,通信用のベースバンドICとアプリケーション・ソフトウエア処理用のICを別個に用意するのに対し,MSM7000シリーズでは両機能を1チップに統合できる。実装面積は41%削減できるという。Pandya氏は「2チップ構成は洗練されていない」とし,1チップ構成が理想だとした。

 MSM7000はVGAの動画を30フレーム/秒で再生できたり,最大800万画素のカメラを搭載できるなど高機能品向けであり,高解像度の撮像素子や大容量のストレージなど高価な周辺部品が必要になる。コスト要求が厳しい地域や通信事業者には適用しにくいのが実情である。

 普及版のMSM6000系のチップセットについては,同社のプロセス技術により低価格化を進める。まず,ベースバンド処理用ICは90nmルールの「MSM6250A」「MSM6250」から65nmルールの「MSM6260」「MSM6245」への世代交代を進める。これによりコストだけでなく,消費電力と外形寸法も抑えられるという。

 RF部のICについても,ベースバンド処理用ICの世代交代に合わせ,SiGeプロセスによる2チップ構成から,CMOS技術による1チップ構成の「RTR 6275」へと移行する。これらの低価格化技術により,欧州,アジア,米国の普及価格帯の需要を掘り起こしたいとした。