総務省は,800MHz帯のW-CDMA方式携帯電話機が植え込み型の心臓ペースメーカーなどに与える影響について調査を実施した。同省では2005年8月に「各種電波利用機器の電波が植込み型医用機器へ及ぼす影響を防止するための指針」を策定しており,同指針では携帯電話を植え込み型医療機器の近くで使う際には電話機を医療機器から22cm以上離すよう定めていた。今回は,新たに導入された800MHz帯W-CDMA端末についても同指針が適切かどうかを調べた。

 調査には,800MHz帯端末の中で電波の放射強度が最も強い1機種を用いた。医療機器については植え込み型の心臓ペースメーカー30機種,植え込み型の除細動器9機種を用意した。端末の送信出力を最大にするなど,厳しい条件下で実験したところ,心臓ペースメーカーのペーシング・パルスには影響を生じる場合があることが確認された。最大干渉距離は3cmだった。除細動器への影響は確認されなかったという。この結果を受けて総務省は,携帯電話機を使う際は植え込み型医療機器から22cm以上離すことなどを定めた指針を「妥当と確認した」と報告している(発表資料)