研究開発費は5年間で3倍に
研究開発費は5年間で3倍に
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大型の出資は,GPS(SnapTrack社),OFDMA(Flarion社),放送(MediaFLO USA社),表示装置(Iridigm社)など
大型の出資は,GPS(SnapTrack社),OFDMA(Flarion社),放送(MediaFLO USA社),表示装置(Iridigm社)など
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「CDMA2000やW-CDMAでは,アナログやGSM方式に比べてメーカーの顔ぶれが多彩に」と強調
「CDMA2000やW-CDMAでは,アナログやGSM方式に比べてメーカーの顔ぶれが多彩に」と強調
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 米QUALCOMM Inc.は,携帯電話機向けサービスの開発者向け会議「BREW 2006 Conference」に先立ち報道関係者向け説明会を開催,ここ数年の研究開発や,同社が保有するIP(intellectual property)のライセンス方針などについて解説した。

 同社の研究開発費は,年々増加する傾向にある。2000年に3億4000万米ドルだった研究開発費用は2003年に5億米ドルを超え,2005年には10億米ドルを超えた。これは,携帯電話ネットワークの通信能力が向上すると共に,無線LANやBluetoothGPSなど無線通信の多様化が進み,さらには音楽や映像再生やそれを制御するソフトウエアなど携帯電話機のチップセットが取り込む機能が増えているためだ。「もし携帯電話機メーカーがこうした機能を自ら開発しようとすれば,それぞれが専門の技術者を確保する必要がある」(同社Senior Vice President, MarketingのJeff Belk氏)とし,携帯電話機が保有すべき共通技術の開発および低消費電力化に対して,携帯電話機メーカーの代わりにQUALCOMM社が投資するのが基本方針だとした。

 ここ数年の大規模投資についても紹介した。これまでの中で最も大きな投資は,GPS関連技術を開発するSnapTrack社の買収で10億米ドルに上る。これに,2005年に買収したFlarion Technologies社の8億500万米ドルが続く。このところ力を入れている放送技術MediaFLOには8億米ドルを費やしているという。このほか,コンテンツ配信技術を開発するElata社に5700万米ドル,RF CMOSのBerkana Wireless社に5600万米ドルが比較的大きな投資である。

 同社のライセンス方針については,チップセットに新しい機能を取り入れても同じライセンシング・ストラクチャを維持し続けるとした。「例えば,WiMAXやOFDMAのような新しい通信機能をチップセットに統合しても,従来のライセンス料に新機能分のライセンス料を上乗せすることはない」(同社PresidentのSteve Altman氏)という。

 CDMAの対抗技術であるGSMのライセンス料についても触れた。GSMの場合,2000年には携帯電話機の開発費用のうちライセンス料が29%を占めていたことや,「15%程度」とする携帯電話機メーカーのコメントなどを挙げ,いくつかのメーカーが保有する関連ランセンス料を積み上げていくためにGSMのライセンス料が高い水準にあるとした。

 一方,QUALCOMM社が提供するCDMA方式の場合,GSMよりも参入する携帯電話機メーカーが多いこと,Nokia社のシェアがGSMほど高くないこと,中国の新興メーカーが短期間でVodafone社に端末を納入できたことなどを挙げながら,結果として業界が活性化しているとした。こうした説明はいずれも,「QUALCOMM社のライセンス料は高すぎる」という批判に対して反論した形である。