米国上院が,国外出身の専門技術・技能取得者に対して与えられる「H-1Bビザ」と「雇用に基づく永住権」の発行プロセスを見直す方針を示した。実質的に科学技術関連の専門知識や技術を持つ外国人労働者の受け入れ枠を広げるものである。国外労働者を受け入れることで米国の国際力向上を図る組織「Compete America」は,この方針に対して「米国の国際競争力向上にとって重要な判断だ」(Compete America議長のSandra Boyd氏)として歓迎の意向を示している(発表資料)。

 今回の上院が可決した内容は,「H-1Bビザの発行数を年間11万5000まで引き上げること」「EBビザの上限を引き上げると共に重要分野については上限を除外すること」「自然科学・技術・工学・数学の大学院学位を保有する労働者の受け入れについてはH-1BとEBビザの上限の例外とすること」の3点である。

 米国では,2001年9月11日の同時多発テロ以降,ビザ発給の制約が厳しくなっていたため,産業界などから政府に対して早期に緩和するよう求める声が高まっていた。現在,有効期間が6年間のH-1Bビザの発行割り当て数は6万5000で,2007年度(2006年10月1日~2007年9月30日)の枠はもうすぐ埋まりそうだという。