米Sony Digital Audio Disc Corp.(Sony DADC)は,米国市場に向けた再生専用Blu-ray Disc(BD-ROM)媒体の量産を開始した(ニュース・リリース)。

 3ラインの生産設備を設置し,片面1層ディスク(容量25Gバイト)を1日当たり2万5000枚(月産75万枚)規模で生産できるという。全ラインが24時間連続で無停止稼動しているという条件下で単純計算すると,1枚あたりの生産にかかる時間は10秒程度になるが,ソニーによるとラインのサイクルタイムとしてはもっと短いという。「DVDディスクの生産と同じ,サイクルタイム3秒で歩留まり9割が目標。生産ラインの技術開発としては,既にそこにほぼ近い状況にある」(同社)という(2004年3月にソニーが静岡の試作ラインを初公開したときの記事)。

10月にライン増設,PS3発売に向けた措置か

 今後,ラインの増設も予定している。2006年10月までに,生産能力を月産500万枚に引き上げる。これは,2006年11月にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)がプレイステーション 3(PS3)を世界同時発売するのに合わせた計画とみられる。SCE 代表取締役社長の久多良木健氏は,PS3用ゲーム・ソフトを収録するBD-ROM媒体の生産規模について,PS3の発売当初から日本では月産250万枚,米国では月産500万枚,欧州では月産250万枚を確保すると表明していた(Tech-On!関連記事)。

 このほか,2006年10月までに片面2層のBD-ROMディスク(容量50GB)の生産も可能にする予定である。

一貫生産が可能

 再生専用ディスクの原盤を作るマスタリング工程には,ソニーが開発したマスタリング装置「PTM(phase transition mastering)」を使用している(PTM装置を初公開したときの記事)。同装置で作製したマスタを基に,上記のラインでディスク基板をつくって0.1mmのカバー層を形成し,オフセット印刷機によるラベル印刷,そして包装ラインを通ることでBD-ROMパッケージの一貫生産が行える仕組みになっている。

 2006年の夏にはPTM装置を増設,その後同年10月にはオフセット印刷機や包装ラインの増設も予定していて,さらに生産体制を強化するという。加えてSony DADCでは,2006年7月にBD-ROMのオーサリング サービスも開始することを発表した。