報告会壇上のJASRAC理事長・吉田茂氏(左)と会長・船村徹氏(右)
 日本音楽著作権協会(JASRAC)は,2005年度(2005年4月~2006年3月)の使用料徴収額が対前年度比2.5%増の1135億8960万円,分配額が同0.6%増の1123億9000万円だったと報告した。1998年をピークに減少傾向にあった音楽CDの生産が下げ止まったことや,DVDの売り上げが音楽ソフトウエアやDVDボックスを中心に伸長したことで,前年実績を上回った。ただし,これまで成長の牽引役となっていたインタラクティブ配信は1.7%減と頭打ちになった。着うたの利用が増加したが着メロの利用減をカバーするまでには至らなかった。

 報告会の中でJASRACは,インターネット上に音声ファイルをラジオ番組のように公開する,いわゆるポッド・キャステイングについて,番組単位での許諾を開始すると発表した。これまでは1曲ごとの許諾が必要になっていたが,テレビ放送番組などと同様,番組単位での許諾が可能になる。早ければ2006年6月,遅ければ同7月から実施する計画だ。

パソコンも私的録音補償金の対象に

 JASRACは,2005年11月に文化審議会が,ハード・ディスク装置(HDD)を内蔵する携帯型音楽プレーヤを私的録音補償金の対象機器に指定することを見送った件で2006年2月,「大きな問題を残した。当協会としてはこれら機器を私的録音補償金の対象とすべきと考えており,今後も引き続きその対応を求める」との意見を表明していた(Tech-On!関連記事)。報告会でもあらためてこれに触れて,「iPodだけでなくパソコンも含め,私的録音への対応を考えたい。パソコンはオーディオ専門機ではないが,音楽配信サービスの利用実態に着目して補償金の対象としたい」(常務理事の泉川昇樹氏)とした。JASRACでは2006年4月より検討を開始しているという。


徴収額の構成比(左は2001年度,右が2005年度。単位=%)

JASRAC大賞は「花」

 報告会では,著作物使用料の分配額で決まるJASRAC大賞の2006年(2005年度の実績が対象)の受賞作も発表された。金賞はORANGE RANGEの「花」,銀賞はケツメイシの「さくら」,銅賞はSMAPの「世界に一つだけの花」がそれぞれ受賞した。JASRAC常務理事の加藤衛氏は,「CDの売り上げだけでなく,インターネット配信で実績を残したものが上位を獲得できるようになった」と受賞傾向を語る。