米Google Inc.は,報道機関向けのイベント「Google Press Day」で,同社のパソコン向けデスクトップ・ツールの新バージョン「Google Desktop 4」のベータ版や,研究部門Google Labsが開発したオンライン・メモ帳「Google Notebook」を公開した(発表資料)。新しいGoogle Desktopでは,ユーザーのパソコンで動作する小規模なアプリケーション・ソフト「Gadget」をより利用しやすくしている。これによりGoogle社は,パソコン・ユーザーにアプリケーション・ソフトを提供する方向へ,また一歩踏み出したことになる(Tech-On!関連記事)。
Google社が提供するGadgetは,Google DesktopのAPI(application programming interface)に対応した小規模なアプリケーション・ソフトウエア。特定の情報や機能の提供だけに特化したソフトを幾つも用意して,ユーザーが簡単に利用できるようにした。具体的には,同社が運営するオンライン動画配信サイト「Google Video」のビデオを再生するビデオ・プレーヤーや,パソコン内の音楽ファイルを再生するプレーヤー,同社のソーシャル・ネットワーク・サービス「Orkut」からの情報を表示するGadgetなどを紹介した。Google Desktopの以前のバージョンでは,画面の横にあってGoogle社からの情報などを表示する「Sidebar」の中でしか,Gadgetを利用できなかった。新しいバージョンでは,ユーザーはGadgetをパソコンのデスクトップ上のどこへでも自由に移動できる。
小規模なアプリケーション・ソフトの提供に力を入れるのはGoogle社だけではない。米Apple Computer, Inc.が2005年4月から出荷しているOS「Mac OS X 10.4(開発コード名:Tiger)」は,「Widget」と呼ぶ小規模ソフトを管理する機能「Dashboard」を備えている。米Yahoo! Inc.は2005年7月に小規模ソフトの動作環境を手掛ける米Konfabulator社を買収し,小規模ソフトの提供を既に始めている。米Microsoft Corp.の次世代Windows「Windows Vista」にも同様な機能がある。
Google社によれば,Google Desktopがこれらと違う点の一つは,ユーザーの行動を分析してユーザーに適したGadgetを推薦する機能を備えることという。このほか,Gadgetが扱うコンテンツや設定をGoogle社のサーバに保存して,他のパソコンからアクセス可能にする機能もある。Google社のGadgetはJavascriptやVBScriptといったスクリプト言語などで開発する。同社だけでなく,他社が開発すること可能である。
オンライン・メモ帳を他者にも公開
Google Notebookは,WWWブラウザーのグラグインで,ユーザーはWWWサイトを操作しながらメモの記入や保存ができる。ユーザーが書いた文章以外に,WWWサイトからコピーした文章や写真,URLなども記入できる。ユーザーが望めば,作成したメモを公開することができる。この機能により,複数のユーザーが協力して何かを調べたりすることが簡単になるという。Google Notebookは,2006年5月22日の週に公開する予定である。