GRAN TURISMO HDのメニュー
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 E3の開催に先立ち,ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が,報道関係者を集めた発表会を米国時間の2006年5月8日午後に開きました。場所はお膝元,Sony Picture Studiosにある巨大なスタジオです。多くの参加者の目当ては,「プレイステーション 3」に関する最新情報です。SCEとしても,春に予定していた発売を2006年11月に延期して間もないだけに,今回の発表会とそれに続くE3での展示は,ハードウエアとソフトウエア双方の開発が順調に進んでいることをアピールする絶好の機会ととらえているようです。実際にプレイが可能なレベルの完成度の高いものから,イメージ映像だけのものまで,PS3向けに開発が進むさまざまなタイトルを紹介しました。

 中でも聴衆が息を呑んで見入っていたのが,フルHD(1080p,1920×1080画素)で映し出されたレーシング・カー・ゲーム「GRAN TURISMO HD」のデモ映像でした。製品版がどこまでの完成度で登場するかはともかく,ステージの上に掲げられた大画面のスクリーンに60フレーム/秒で表示される画像の精細さは,実写と見まがうばかりのものでした。それもそのはず。今回の表示に使ったベースバンドのデータ・レートは,HDTV対応のビデオ・カメラの約3倍,現行の「Gran Turismo 4」の12倍に当たるそうです。ゲーム・タイトルの進化が,ディスプレイに進化を促す時代がやってくることを改めて認識しました。

価格には驚きなし?

 SCEに先立って発表会を開いたスクウェア・エニックスは,人気タイトル「ファイナルファンタジー」の次版として3本同時に開発している「ファイナルファンタジー XIII」関連タイトルのうち2本を,PS3向けに開発していることを明らかにしました(PDF形式の発表資料)。もともとはプレイステーション 2向けを想定していましたが,1年ほど前にPS3向けに開発するよう方針転換を図ったといいます。PS3が搭載するマイクロプロセサ「Cell」の実力を引き出すために,「White Engine」と呼ぶ基本ライブラリを新たに作り直したそうです。

 ゲーム業界に着実に旋風を巻き起こしつつあるPS3ですが,今回明らかにした20GバイトのHDDを搭載するタイプで5万9800円(米国では499米ドル)という価格については「驚きがなくてがっかりした」という声が会場で聞かれました。米国人の記者も「これでは高くて買えない人が多いのではないか」ときっぱり。これだけの出費をする価値があると消費者を納得させるだけの「サプライズ」がどれだけ用意できるかが,売れ行きを大きく左右しそうです。