東芝は,2005年度(2005年4月~2006年3月)の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比9%の6兆3435億円で過去最高を記録した。

 売上高の増加に伴い,営業利益は55%増の2406億円,当期純損益は同70%増の782億円と大きく業績を伸ばした。前年赤字だった家庭電器部門が黒字になったのを含め,全セグメントで増収,増益,黒字を達成した。売上高営業利益率は3.8%で,前年度の2.7%より1.1ポイント高めた。

 2006年度業績見込みは,売上高が同4%増の6兆6000億円,営業利益が同10%増の2650億円,当期純損益は同15%増の900億円である。

好調のNANDフラッシュ,電子デバイスは営業利益率8.9%

 全社の営業利益の約半分をたたき出したのが,メモリやシステムLSIなどを中心とする電子デバイス部門である。売上高が1兆3881億円で同6%増,営業利益は同33%増の1233億円で,売上高営業利益率は8.9%と高い。

 同部門の利益の大部分を占めるのがNANDフラッシュ・メモリ。2006年1月~3月には,一部オーディオ機器の売り上げ不調や他メーカーによる在庫の放出などでスポット価格が下落したものの,「値下げ幅は想定の範囲内だった」(同社 代表執行役副社長の笠貞純氏)という。2006年4月~6月には価格が下げ止まると見込む。

 システムLSI事業は収益が改善した結果,営業損益は下期に黒字転換,通期でほぼ±0となった。約300億円に上る営業損益の改善の内訳は,メモリ事業とシステムLSI事業が約半分ずつ,ディスクリート事業は横ばいという。液晶ディスプレイ事業は価格下落の影響で減益となった。

デジタル機器部門の営業利益率は1%以下

 パソコンや携帯電話機などを扱うデジタルプロダクツ部門は,売上高は2兆5365億円で同14%増,営業利益は同187%増の209億円と改善した。売り上げでは,パソコン事業が欧米を中心に増収,HDDや携帯電話機も増収となった。営業利益では,携帯電話機とHDDが増益となった。とはいえ,売上高営業利益率は0.8%と,いまだに低水準にとどまる。

 家庭電器部門は,売上高が同4%増の6875億円,営業損益は60億円改善の27億円に黒字転換した。洗濯機や液晶バックライトが好調だったという。売上高営業利益率は0.4%である。
 
 医用システムや電力事業などの社会インフラ事業は,売上高が同4%増の6875億円,営業利益は同58%増の486億円。売上高営業利益率は4.1%である。

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