セイコーエプソンは2006年4月26日,同社 広丘事業所敷地内の廃棄物の処理費用をめぐり,王子製紙に対して損害賠償を求め東京地方裁判所に提訴した。損害賠償の請求金額は約6億4000万円である。

 経緯は次の通り。訴訟の対象となる土地は,2000年7月にセイコーエプソンが王子製紙から購入した。2004年7月,セイコーエプソンがヒ素に関する地下水調査を実施した際,汚泥状の廃棄物が確認された。同社の調査によれば,当該廃棄物が王子製紙の事業に起因するものであることが判明したという。その後,両社で連絡を取りながら廃棄物の処理を進めてきた。しかし,廃棄物処理などに関わる費用負担について両社の見解が相違し,セイコーエプソンが求める費用負担について合意に至らなかったことから,同社は提訴に踏み切った。

 確認された廃棄物は,汚泥,インキ,焼却灰,ビニールなど。地表から深さ約0.5m~2.5m付近に存在した。廃棄物および土壌を分析した結果,ダイオキシン,PCB(ポリ塩化ビフェニル),Pb(鉛),フッ素,Cr6+(6価クロム),ホウ素,ヒ素が基準値を超えて検出されたという。これら廃棄物は,処理業者に委託するなどして適正な処理を終えたとする。

 王子製紙は,今回のセイコーエプソンの提訴に対して次の3点をコメントした。
1)現在のところ訴状を見ていないため,内容については言及できない。
2)法的責任の範囲を明確にした上で費用負担するという意思を,これまでセイコーエプソンに対して伝えてきた。
3)誠に遺憾であり,今後の裁判を通じて我々の立場を明確にしていきたい。