日本電産の2005年度(2005年4月~2006年3月)の売上高は対前年度比10.5%増の5368億5800万円だった(PDF形式の発表資料)。ハード・ディスク装置(HDD)用モータの売上高が前年度から38%伸長した。

 営業利益は対前年度比0.4%減の534億2600万円となった。同社は減益について,ドイツAgfaPhoto GmbHの倒産による貸倒損失や在庫評価損があったこと,前年度に厚生年金基金の代行返上に伴う利益を計上していたことなどを理由に挙げる。また,HDD用モータやファン・モータの取引先でJIT(ジャスト・イン・タイム)方式が採用されたことの影響を受けたとする。

 同社の主力である精密小型モータ事業は大幅な増収増益となった。売上高は対前年度比22.9%増の2737億5900万円,営業利益は同37%増の355億7800万円である。HDD用モータの販売数量は32%増加した。2.5インチ型と3.5インチ型の高容量品の販売比率が増したため,平均販売単価の下落幅も米ドル・ベースで約1%程度にとどまっている。同社はHDD市場が今後も年率15%以上のペースで成長するとみており,中国やフィリピンで生産能力を拡大する計画だ。DVD機器向けDCモータ事業においては,Blu-ray DiscとHD DVDへの早期対応を図って,成長市場でのシェア獲得を狙う。

 一方,中型モータ事業は,売上高が377億6700万円で6.2%の増収ながら,約19億円の営業損失を計上した。新製品の開発や生産の海外移管に積極的な投資を進めていること,材料価格の高騰などで収益が悪化したとする。ただし,中国における生産が軌道に乗りつつあることなどから,2006年度(2006年4月~2007年3月)中には黒字化できる見通しという。

 2006年度の業績については,売上高5800億円(対前年度比8.0%増),営業利益650億円(同21.7%増),当期純利益400億円(同2.3%減)を見込んでいる。

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