Mobile DTV Alliance,President and Chairman of the BoardのYoram Solomon氏
Mobile DTV Alliance,President and Chairman of the BoardのYoram Solomon氏
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 携帯機器向けの地上デジタル放送規格「DVB-H」を推進するDVB Projectは,2006年4月24日にNABで記者発表会を開催し,DVB-Hの商用サービスのスケジュールを明らかにした。

 2006年末までに,イタリアと中国,そして米国の一部地域でDVB-Hのサービスが開始されるという。今回のNABでは36の企業および団体がDVB-Hに関する展示や実演を行うなど,携帯機器向けテレビ放送に対する放送業界の関心の高さを示した。

ワールドカップ開催に合わせる

 DVB Projectの担当者によれば,まずイタリアの3 Italia社が2006年6月からサービスを開始するという。サッカーのワールドカップ「2006 FIFA World Cup Germany」の開催に合わせたもの。続いてイタリアの通信事業者であるTelecom Italia Mobileと放送事業者のMediaset社が共同で2006年9月にサービスを開始し,2006年末までに75%のカバレージを確保することを目指しているという。「イタリア政府は放送メディア業界との結びつきが強く,新しい放送サービスを取り入れるのに積極的だ。地上デジタル放送への移行も急ピッチで進めており,携帯機器向けのサービスへの関心も非常に高い」(DVB Project Office,Executive DirectorのPeter MacAvock氏)。

 このほか中国においては,2006年末までに4つの都市でサービスが開始される見込みとする。米国では米Modeo社が2006年末からニューヨークなど一部地域でのサービス開始を予定している。トライアル・サービスに関しては,オーストラリアやカナダ,ドイツ,インドネシア,マレーシア,スイス,南アフリカ,台湾,イギリスなどで開始,もしくは実施予定とした。

 既にDVB-H対応の携帯電話機を発表済みのフィンランドNokia社によれば,「イタリアや米国などのサービスが始まるのにあわせ,当該地域で端末を発売していく」(同社)としている。このほか米Motorola社も記者発表会に参加し,DVB-H対応端末の準備に積極的に取り組んでいることを示していた。記者発表会にはこのほか,北米でのDVB-Hの普及を目指す業界団体「Mobile DTV Alliance」の議長や,米Intel社および米Microsoft社の担当者も出席するなど,北米での浸透を目指す企業が勢ぞろいしていた。