2006年4月19日~21日に開催された「レンズ設計・製造展 2006」「LASER EXPO 2006」では,カメラのレンズ材料や半導体レーザと組み合わせる材料が多数出展された。その中で目にした新製品や参考出展品を紹介する。

オハラは屈折率が2.0を超えるレンズ材料を参考出展した。「nd2.0」と「nd2.1」がある。いずれもモールド成形向けで,2006年中にサンプル出荷を始めたいという。モールド成形時に起き得る曇りや,金型に対する損傷は「十分管理して,この材料を使えば問題にならないはず」(説明員)という。今回,仕様値は詳細に見せたものの,実物は公開しなかった。なおオハラは,キヤノンなどと関係が深い企業である。
オハラは屈折率が2.0を超えるレンズ材料を参考出展した。「nd2.0」と「nd2.1」がある。いずれもモールド成形向けで,2006年中にサンプル出荷を始めたいという。モールド成形時に起き得る曇りや,金型に対する損傷は「十分管理して,この材料を使えば問題にならないはず」(説明員)という。今回,仕様値は詳細に見せたものの,実物は公開しなかった。なおオハラは,キヤノンなどと関係が深い企業である。
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オハラのプレス成形向け光学ガラスのラインアップ。今回出展した「nd2.0」と「nd2.1」が,既存品と大きく異なる特性を備えることがわかる。ndは屈折率,νdは色収差の指標であるアッベ数を示す。屈折率が2.0を超える光学ガラスには,住田光学ガラスの「K-PSFn2」がある。こちらの屈折率は2.00170,アッベ数は20.6。松下電器産業がデジタル・カメラ「DMC-FX01」に用いている。
オハラのプレス成形向け光学ガラスのラインアップ。今回出展した「nd2.0」と「nd2.1」が,既存品と大きく異なる特性を備えることがわかる。ndは屈折率,νdは色収差の指標であるアッベ数を示す。屈折率が2.0を超える光学ガラスには,住田光学ガラスの「K-PSFn2」がある。こちらの屈折率は2.00170,アッベ数は20.6。松下電器産業がデジタル・カメラ「DMC-FX01」に用いている。
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オハラは,市場で好評を博す硝材「S-TIH53」とほぼ同じ仕様値ながら,透過率を高めた「TRY024」を参考出展した。研磨向けで,Pbを使用していない。
オハラは,市場で好評を博す硝材「S-TIH53」とほぼ同じ仕様値ながら,透過率を高めた「TRY024」を参考出展した。研磨向けで,Pbを使用していない。
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「TRY024」は,波長が500nmよりも短い光に対する透過率が「S-TIH53」よりも優れている。ただし,大規模に量産したときの価格は,S-TIH53並みに抑える予定。
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「TRY024」を超える透過率を実現する「800298」。こちらはTRY024よりも,価格を抑えにくいという。
「TRY024」を超える透過率を実現する「800298」。こちらはTRY024よりも,価格を抑えにくいという。
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既存品「S-NPH53」と「S-TIH53」の仕様。
既存品「S-NPH53」と「S-TIH53」の仕様。
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大興製作所は,透光性セラミックスの研磨品を公開した。同社が保有する人工石英向けの研磨装置を転用し,作製している。作製に要する時間は「人工石英を使ったときと同様」(説明員)という。
大興製作所は,透光性セラミックスの研磨品を公開した。同社が保有する人工石英向けの研磨装置を転用し,作製している。作製に要する時間は「人工石英を使ったときと同様」(説明員)という。
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大興製作所が研磨した透光性セラミックスの仕様。屈折率は2.082,アッベ数は30.4,400nmの光の透過率は約60%。これらの仕様値は村田製作所が2004年に量産出荷した「ルミセラ Type-E」と同じだが,これとの関連性は不明。大興製作所は材料の調達先について一切言及しなかった。「人工石英以上に熱や薬品に強い特性を生かして用途を開発したい」(大興製作所の説明員)。
大興製作所が研磨した透光性セラミックスの仕様。屈折率は2.082,アッベ数は30.4,400nmの光の透過率は約60%。これらの仕様値は村田製作所が2004年に量産出荷した「ルミセラ Type-E」と同じだが,これとの関連性は不明。大興製作所は材料の調達先について一切言及しなかった。「人工石英以上に熱や薬品に強い特性を生かして用途を開発したい」(大興製作所の説明員)。
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東芝セラミックスは,半導体レーザと組み合わせて使う光学部品などに向けた透光性セラミックスを披露した。「射出成形で作製しても透明性を確保できる。それだけ成形条件が緩やかなので量産性が高い」(説明員)という。
東芝セラミックスは,半導体レーザと組み合わせて使う光学部品などに向けた透光性セラミックスを披露した。「射出成形で作製しても透明性を確保できる。それだけ成形条件が緩やかなので量産性が高い」(説明員)という。
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東芝セラミックスは,3種類の透明セラミックスを開発した。屈折率は1.8〜1.9。400nmの光の透過率は約80%。近いうちにサンプル出荷を予定している。
東芝セラミックスは,3種類の透明セラミックスを開発した。屈折率は1.8〜1.9。400nmの光の透過率は約80%。近いうちにサンプル出荷を予定している。
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このボール・レンズは,近接場光学を応用した固体浸レンズで,ソニーがBlu-ray Discのさらに次の世代の光ディスク装置の研究に用いている。研磨品で,屈折率は2.24257である。NTTアドバンステクノロジが開発した材料(KTaO3)を用いた。
このボール・レンズは,近接場光学を応用した固体浸レンズで,ソニーがBlu-ray Discのさらに次の世代の光ディスク装置の研究に用いている。研磨品で,屈折率は2.24257である。NTTアドバンステクノロジが開発した材料(KTaO3)を用いた。
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会場では巨大なホタル石(CaF2)レンズが注目を集めていた。天体望遠鏡用で,キヤノンオプトロンが展示した。
会場では巨大なホタル石(CaF2)レンズが注目を集めていた。天体望遠鏡用で,キヤノンオプトロンが展示した。
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