NTTドコモの中村氏。左は通訳者。
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NTTドコモのブース
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 NTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏は,CTIA Wireless 2006の基調講演に登場し,日本での第3世代サービスの進捗状況や「お財布ケータイ」の有用性などを米国の聴衆に対して訴えた。

 中村氏はまず,第3世代携帯電話サービスの契約者数が2006年2月末の時点で2200万に達し,同社の全加入者の48%に達していることを述べた。「サービスを立ち上げてから最初の2年は全くダメだった。それが,通信エリアのカバレージを拡大し,端末のラインナップを増やしたことで急速に加入者を増やした」(中村氏)。第3世代サービスの本格導入はこれからという米国と異なり,既に日本市場では普及が先行していることを印象付けた。

 そのうえで携帯電話機の進化が生活インフラに与えているインパクトについて,お財布ケータイを例に挙げて紹介した。ビデオレンタル店やコンビニエンス・ストア,電車の利用,さらにはマンションのカギなどに非接触ICカードの技術を適用する事例を示した。「通信以外も含めた生活のあらゆる場面で使えるツールにしたいと考えている」(中村氏)との同社の考えを示した。

 通信インフラの高速化についても言及した。2006年夏にHSDPAを導入し,その後,上り回線を高速化するHSUPA,そしてSuper3Gを経て4Gへという同社のロードマップを紹介した。「ネットワークは常に進化させるように取り組んでいる」(中村氏)。その後,約2分間のコンセプト・ビデオを放映し,NTTドコモの描くモバイル通信の将来像を示した。

 中村氏は今回の講演で,NTTドコモの米国市場に向けた取り組みについては一切触れなかった。米国市場に見方については,「米国は日本と異なりクレジット・カードの利用が非常に発達している。こうした場では,なかなか携帯電話での非接触ICカードの利用は広がりにくいのでは」と講演後に記者に対して語った。また講演後には,同社が米カリフォルニア州サンノゼに設立したベンチャー・キャピタルである米DoCoMo Capital,Inc.( Tech-On!の関連記事)についても語った。「ベンチャー・キャピタルを米国に設立したのは,投資という意味では全く無い。なによりも,技術シーズを探るため。新技術を早く見つけることが重要と思っている」と,モバイル通信の明日を担う新技術の種を早期に見つけることを,優先課題と位置づけていることを明らかにした。