ニッパツ(日本発条)は,非接触ICカードやタグを80枚まで重ねた状態で一度に読み書き可能な無線タグ(RFIDタグ)技術を開発した(図1,2)。詳細については特許出願中のため明らかにしていないが,カードやタグに内蔵するRFID側のアンテナの形状や構造を最適化することで,複数枚重ねても個々のアンテナの特性に影響が出ないようにしたという。材料や製造方法には特殊なものを使っていないため,コストは従来と変わらないとしている。

 同社では開発したアンテナ部分と市販のRFID用ICチップを組み合わせたインレットで販売する計画で,2006年9月までには商品化したいとしている。用途としては,契約書やカルテといった重要書類などの管理システムをはじめ,生産管理システムや物品管理システム,各種カードの利用システムなどを想定する。初年度の売上高は約5億円を見込んでいる。

 ICチップは,国際標準であるISO15693(キャリア周波数13.56MHz)に準拠していれば読み取りが可能。このほか,原理的にはISO14443などの他の規格にも適用することができるとしている。なお,リーダー機器は一般の市販品を使用することができる。

図1 開発したRFIDのインレット
図1 開発したRFIDのインレット
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図2 重ねて読み取ることが可能
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