図1 部屋に備え付けられていた32インチ型の液晶テレビ
図1 部屋に備え付けられていた32インチ型の液晶テレビ
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図2 無線LANがつながる百貨店
図2 無線LANがつながる百貨店
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 ビルなどの建設ラッシュに沸く上海の浦東地区に負けず劣らず,北京でも社会インフラの整備が急ピッチで進んでいる。私が宿泊しているホテルは,北京でも1,2を争う繁華街,王府井に位置する。ここ王府井のメイン・ストリートは多くの中国人でごった返しているが,通り沿いには空き地も多い。いずれもビルやホテルなどの建設予定地だ。

 こうした社会インフラの整備が急ピッチで進んでいるのは,北京五輪を2008年に控えているためである。私が宿泊先に選んだホテルも,手入れが行き届いている。すべての部屋には液晶テレビが備え付けられており,ブロードバンドを使用できる環境にある(図1)。フロントで確認すると数カ月前にホテルを全面改装して,今の環境を整えたという。そのためか,一部の部屋はまだ工事中だった。ちなみにブロードバンドの使用料金は1日60元,日本円で約900円である。通信速度は100Mビット/秒と速い。

 意外だったのは,思っていた以上に無線LANがつながることだ。多くの企業が集まるビルはもちろん,百貨店でも無線LANを利用できる。宿泊先のホテルから5分ほど歩いたところに王府井で一番大きなショッピング・センター「新東安市場」がある。ここの地下1階にあるスターバックスで,ノート・パソコンを開くと,なんと5個のホットスポットを検知した(図2)。

 中国の経済成長の原動力となっているのは2008年の北京五輪と2010年に上海で開催される万博だ。中国に活動拠点を置くコンサルタントによると,五輪および万博後の中国のあり方は誰もが考える余裕がないほどという。つまり,宴の後の経済成長については,まだ絵を掛けてないというのである。このような状況の中,中国政府は第11次5カ年計画(2006年~2010年)を発表した。この計画で中国政府は「創新」という言葉を打ち出した。詳しくは本誌に譲るが,今後,この創新というキーワードを受けて,中国の地場メーカの動きが活発化すると見られている。