シャープは,2006年4月1日に「育児退職再雇用保証制度」を導入する(発表資料)。育児を目的として退職した社員に対して再雇用を保証する制度だ。これまでの「育児退職再雇用制度」に「保証」の2文字が加わり,再雇用の際の社内選考が廃止された。性別を問わず,グループの全社員を対象に,「手厚い育児支援」を目指す。

 育児中の社員の就業時間を短縮する「育児短時間勤務制度」の対象期間についても延長を決めた。これまでは「子供が3才になった後の3月末日まで」としていたが,「子供が小学校に入学するまで」に変更している。育児退職再雇用保証制度の対象期間については「一定の育児が終わった段階」での再雇用としており,特に年数を定めていないが,「時短勤務の対象期間を上回るような適用は考えていない」(同社広報)とする。

 さらに,不妊治療を受ける社員に対してグループのファイナンス会社が低利で融資する「不妊治療融資制度」を新たに設けた。

社員の育児,大手電機メーカー各社のサポート体制は

 社員の育児を支援する制度は,他の大手電機メーカー各社でも導入が進んでいる。シャープのような再雇用「保証」ではないものの,松下電器産業では,結婚や出産,育児などを目的として退職した社員を社内選考を経て再雇用する「社員再就職制度」を1999年から導入している。東芝では,育児休職の期間を,法定の子供が1才になるまで(条件によっては1才6カ月まで)を超えて,子供が3才になるまでとした。

 育児・介護休業法に定められた時短勤務の対象期間を延長している企業も少なくない。育児・介護休業法では時短勤務の対象となる社員の子供の年齢は3才未満とされているが,日立製作所では小学校3年生まで,松下電器産業では満7才の3月末まで,NECでは小学校1年生までとしている。

 保育施設を設けたり,ベビー・シッターの利用料を補助する形のサポートも多い。富士通や日立では,一部の事業所に保育園や託児所を設けている。松下電器はベビー・シッター派遣企業と法人契約を結んでいるという。ソニーや富士通では,ベビー・シッターの利用料の一部を補助する制度を導入した。

 金銭面でのサポートは三洋電機が充実している。同社では,子供の誕生時,入園時,入学時(小・中・高)に慶事祝金を支払う制度を導入したほか,満3才の3月末までの子供を持つ社員に対して年間10万円を「アシスト費」として支給する。

 また,キヤノンやNEC,ソニー,松下電器などでは,育児休暇中の社員がインターネット経由で社内の情報を得られるシステムを導入。育児休暇や育児休職を利用した社員が職場復帰しやすくする工夫にも努めているようだ。