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 仏Alcatel社は,モバイルWiMAX(IEEE 802.16e-2005)用小型基地局をCeBIT 2006に出展した。複数のアンテナを利用して電波の方向を制御する「AAS(advanced antenna system)技術を実装したのが特徴。アンテナ数は2本,または4本である。これで,電波の進行方向を端末に向けて絞り込む「ビーム・フォーミング」が可能になり,通信距離を伸ばしたり,隣接する基地局との電波干渉を抑える効果が期待できる。

 基地局は,寸法が約35cm×70cm×10cmと,第3世代携帯電話の基地局などと比較して小さい。下面にアンテナを接続する端子が4個ある。接続するアンテナは,4本の場合は,約1mの長さのものを15cm間隔で並べたものになる。

 AASは,アダプティブ・アレー・アンテナ,またはスマート・アンテナなどとも呼ばれる技術。4本のアンテナを用いた場合の効果は,「リンク・バジェットが下り+12dB,上り+6dBも増やせる」(同社)。これで,一定の実効速度を実現できる電波の出力をおおよそ40%減らすことができる。あるいは,基地局の数を1/2以下にできるという。

 同社は,2006年2月に韓国Samsung Electronics Co., Ltd.と韓国のモバイルWiMAXである「WiBro」の展開に関して提携している。このため,今回の基地局もまずはWiBroでの利用を想定して開発したものと考えられる。ただし,同社は「特定の地域でなく,世界中での展開を考えている」という。