松下電器産業は3月8日,都内で記者会見を開き,薄型テレビ「VIERA(ビエラ)」とHDD内蔵DVDレコーダ「DIGA(ディーガ)」などの新製品を発表した(図1)。VIERAは新たに追加した58型を含むPDPテレビ「PX600シリーズ」4機種と,32型の液晶テレビ「LX600シリーズ」1機種の計5機種,ディーガは地上デジタル放送対応の「DMR-EXシリーズ」4機種と,アナログ放送対応の「DMR-EHシリーズ」2機種の計6機種。このほか,外付けのAVアンプなど5.1chサラウンド製品を加えた。記者会見には,CMキャラクタを務めるタレントの小雪が招かれたこともあり,700人以上の報道陣が詰めかけた(図2)。
PDPテレビは58型を追加し,パネルを改良
新しいPDPテレビでは改良版のパネルを採用した。大きな改良点は三つ。(1)発光効率を20%向上した。(2)暗所コントラストを4000:1に引き上げた。(3)ガラス基板の厚みを従来の2.8mmから1.8mmに下げ,パネルを軽量化した。(2)のコントラスト向上は,予備放電による発光を抑えたほか,前面保護ガラスの反射防止コーティングを改良して達成した。また(3)のパネルの軽量化の結果,従来より本体の重さを約18%低減できたモデルもある。
パネルの表示画素数は58型と50型が1366×768,42型が1024×768,37型が1024×720。いずれもいわゆるフルHD品ではない。ライバル各社の液晶テレビでは最近,1920×1080のフルHD表示の液晶パネルの投入が相次いでいる。この点について,記者会見で壇上に立ったPDPビジネスユニット ビジネスユニット長の藤田正明氏は「一般的な液晶パネルでは,動画を表示した場合の解像度が落ちる。たとえフルHD表示の液晶テレビでも実質的な画質では当社のPDPテレビの方が上」と説明した(図3)。
HDMIで機器間の制御信号をやり取り
松下電器が今回投入した新製品のうち,アナログ放送対応のDVDレコーダーを除くすべての機種はHDMI(high-definition multimedia interface)端子を標準装備する。同社は,HDMIを使った機器間の相互制御機能「VIERA Link」を今回の新製品群の目玉として位置づける。
VIERA Linkは,テレビ,DVDレコーダー,AVアンプ間で制御信号をやり取りし,操作を一元化する機能。記者会見ではテレビのリモコンを使って,テレビの画面上からDVDレコーダーやAVアンプの電源をオンオフしたり,DVDレコーダーに視聴中の番組の録画を指示したり,DVDレコーダーに保存された番組をリストアップして再生するといったデモが行われた(図4)。
HDMIでは機器間で制御信号をやり取りするCEC(consumer electronics control)を規定している。VIERA Linkの仕様は「HDMI ver.1.2aで規定されたCECのAV機器向けのコマンドを使い,規格の範囲で松下独自の拡張を加えて策定した」(松下電器の担当者)という。電源のオンオフや入力の切り替えといった標準のコマンドを使う操作に限れば,同じ仕様に準拠した他社製品との相互利用も可能だ。ただし,「録画済み番組のリスト表示や視聴中の番組を録画するといった操作では,独自拡張のコマンドを利用しているため,他社製品との連動は難しい」(前述の担当者)という。