前金制電話の領収書
前金制電話の領収書
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 「そうだ。取材先に確認の電話をしなくちゃ」。そう思い,ホテルの部屋の受話器を取った。しかし,なぜだか全然つながらない。果たして電話が壊れているのか。

 不安を感じつつ,部屋に置いてある説明書を読むと,どうやら電話を使うにはホテルの1階にある「テレフォン・サービス」の窓口で前金を払う必要があるらしい。昨年まで国営ホテルだった格式のあるホテルだけに,旧ソ連邦時代の独特のやり方を踏襲しているらしい。

 そこで、わざわざ18階にある部屋から1階まで降り、テレフォン・サービスに赴く。ブースにいた女性に聞くと、前金として200ルーブル(約800円)を払えば、1分間1.42ルーブル(約5.6円)ほどで通話できるという。200ルーブル払ってもらった領収書が写真で示したもの。すべてを使い切らない場合、領収書を窓口に提示すれば残高を返金してくれるらしい。

 モスクワでも米国資本などの近代的なホテルでは、こんな旧式のやり方はもうない。日本や米国と同じく、電話した分だけ自動的に部屋代に課金される。

 Ukraina Hotelのシステムは不便ではあるが、かつて共産国家だったこの国の歴史を思い起こさせてくれた。旅行者にとっては、ちょっぴりうれしい誤算だ。