図1 韓国LG Electronics社の携帯電話の屋外広告。このような広告の看板が,街中,いたるところに見られる。
図1 韓国LG Electronics社の携帯電話の屋外広告。このような広告の看板が,街中,いたるところに見られる。
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図2 わが宿,Ukraina Hotel。外観は素晴らしい。
図2 わが宿,Ukraina Hotel。外観は素晴らしい。
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 「ただ今の外気温はマイナス8度です」。いまどき機内のエンターテインメント設備がなく,おまけにウオッカを飲みすぎた客が搭乗員と1時間ぐらい大声で言い争いをするという,苦難のロングフライトを乗り越えて到着したモスクワは,やっぱり寒かった。
 
 空港からホテルへ向かう道。凍った道路をタクシーが突っ走る。ときどき,どこが車線だが分からないくらい,皆運転マナーが悪い。3車線なはずが,数えてみると4車線になっていることもしばしば。助手席に座る身としては,言葉が通じない運転手にすべてを委ねるしかない。

 路上にはどう見ても数十年ものの,日本製の中古車や旧ソ連時代の国産車に混じって,Lexusなど高級車もかなりの割合で走っている。ここ数年の経済の急成長と,格差の広がりを如実に物語る。

 ホテルへの道中目に付いたのは,どでかい広告の看板の数々だ。ロシアではどうやら屋外広告に対する規制がないのがその理由のようだ。中でも特に目立つのが,携帯電話機の広告(図1)。「Samsung」「LG」「Nokia」「Motorola」。激しい宣伝合戦が路上で繰り広げられている。ところで,日本のメーカーはというと,残念ながら存在感は薄い。

 今回宿泊するのは,1957年に建設された「Ukraina Hotel」。旧ソビエト連邦時代の面影を残す老舗のホテルだ。高さはなんと206m。「スターリン建築」と呼ばれる荘厳な外観を持つ(図2)。室内も旧ソ連時代そのままの感じ。そう,値段の割りに部屋はかなり狭い。

 翌朝目を覚ますと眼下のモスクワ川が完全凍結していた。その景色を見て,長袖の下着などを着込む完全防御体制で外出すると,今度はいろんな所で汗をかく羽目に。ロシアでは外が寒い分,室内はトイレを含めてガンガンに暖房が効いているのだ。「日本に帰るとすごく寒く感じるんですよね」。モスクワ駐在経験が長いある日本人の方は,そう言っていた。

 寒いけど活気にあふれるロシア。次回は「ロシアの秋葉原」と呼ばれる電気街の模様などをお伝えします。