図1 参照デザインに従ったPCカード型の送受信モジュール。台湾Realtek Semiconductor Corp.との共同開発品(左)と,米Alereon, Inc.との共同開発品(右)。
図1 参照デザインに従ったPCカード型の送受信モジュール。台湾Realtek Semiconductor Corp.との共同開発品(左)と,米Alereon, Inc.との共同開発品(右)。
[画像のクリックで拡大表示]
図2 PCカード型のWUSBホスト・コントローラとハブ用のDWAコントローラ間での通信のデモンストレーションを行った。今回は無線免許の取得が間に合わず,有線通信となった。
図2 PCカード型のWUSBホスト・コントローラとハブ用のDWAコントローラ間での通信のデモンストレーションを行った。今回は無線免許の取得が間に合わず,有線通信となった。
[画像のクリックで拡大表示]
図3 デモンストレーションには台湾Realtek Semiconductor Corp.との共同開発による試作ボードを用いた。
図3 デモンストレーションには台湾Realtek Semiconductor Corp.との共同開発による試作ボードを用いた。
[画像のクリックで拡大表示]

 NECエレクトロニクスは,USB2.0を無線化する高速インタフェース「Certified Wireless USB」(以下,ワイヤレスUSB)のPCカード型送受信モジュールの参照デザインを提供する(図1,ニュース・リリース)。同社のワイヤレスUSBコントローラIC「μPD720170」を搭載するもので,提供開始は2006年度第1四半期を予定する。同社は「台湾などのOEMメーカーに向けて参照デザインを用意しなければ,ワイヤレスUSBが広まらない」としており,参照デザインをそろえることでワイヤレスUSBの普及に弾みをつける。ベースバンドの変復調回路やRF回路などの物理層には,他社製品を使うことを想定している。今回発表した参照デザインは,送受信ICメーカーである米Alereon, Inc.と台湾Realtek Semiconductor Corp.の2社とそれぞれ開発した2品種を用意する。

 NECエレクトロニクスは記者発表会において,今回の参照デザインに従ったPCカード型送受信モジュールと,ワイヤレスUSBのハブ・コントローラに相当するDWA(Device Wire Adapter)コントローラの試作品を搭載したハブ用の送受信モジュールを通信させるデモンストレーションを行った(図2)。いずれもRealtek Semiconductor社の物理層チップを利用する(図3)。ハブにはUSBメモリが接続してあり,Windows Media Videoのファイルを実効データ転送速度2Mビット/秒で転送し,ノート・パソコンで再生した。ただし,無線免許の取得が間に合わなかったため,今回のデモは有線で実施していた。

 NECエレクトロニクスは2006年を「ワイヤレスの年」とすることを狙う。ワイヤレスUSBは2006年から立ち上がり,2008年には2500万台の市場規模になると見込む。デジタル・カメラなどの周辺機器を一気にワイヤレスUSB対応にすることは難しいため,まずはパソコンやデジタル・テレビ,DVDレコーダなどに向けたホスト・コントローラやハブ向けのDWAコントローラの需要が増えると予測する。ワイヤレスUSBモジュールの消費電力は現在,1Wほどである。チップの設計ルールの微細化や1チップ化などによって1年~2年後には0.5W以下に抑え,電池駆動する携帯機器にも搭載できるようにするとしている。