沖電気工業は,主にFTTHで利用する宅内装置であるONU(光終端装置)向けに,複数の光学部品を集積したチップを開発した。例えば,受光素子や発光素子,両素子の前に置くレンズ,下り信号の光を反射させて受光素子へ向かわせたり発光素子からの上り信号の光を透過させたりする光学フィルタなどを1チップ上に載せている。チップはSi製で,大きさは2mm角と小さい。

 開発品の特徴は,複数の光学部品をチップ上に実装するのに,従来手作業で行っていた工程の削減を図ったこと。例えば,「V字型の溝に光学レンズを手作業によって固定していたのを,沖電気工業のSi製のレンズを溝の形状に沿った形にすることで,製造機器によって自動実装できるようにした。その結果,大量生産が可能になり,製造コストを抑えられるようになった」という。実装時には,同社の画像認識技術を応用して,光学部品の実装位置を補正する。

 今回の開発品は上り/下り信号に,中心波長がそれぞれ1310nm,1490nmの光を利用することを想定している。今後1550nmの光を利用可能にする予定。今回の開発品自体はカスタム品であるため発売しない。ただし,今回の試作品に利用しているSi製のレンズは2006年4月よりサンプル出荷する予定。このSi製のレンズはすでに2002年に開発済みである(Tech On!関連記事)。

 なお詳細については,2006年3月5日から米国で開催される「OFC/NFOEC 2006」で発表予定である。