握手を交わす新社長の下村氏(右)と現社長の野間口氏(左)
握手を交わす新社長の下村氏(右)と現社長の野間口氏(左)
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 三菱電機は2006年4月1日付で,現執行役副社長の下村節宏氏が執行役社長職に就任することを正式発表した(ニュース・リリース)。現執行役社長の野間口有氏は取締役会長に就く。

野間口氏主導の4年間で業績が急回復

 三菱電機の業績は,直近の2005年第3四半期で全セグメントにおいて増収となるなど,好調に推移している(Tech-On!関連記事)。しかし,わずか4年前の2001年度には,ITバブル崩壊の影響もあって,780億円の純損失を計上するなど経営が悪化していた(Tech-On!関連記事)。

 この苦しい状況下で2002年4月に社長に就任した野間口氏は「バランス経営」を標榜し,三菱電機の事業再編に着手した。そしてシステムLSI事業を日立製作所と統合して新会社「ルネサス テクノロジ」をスタートさせ(Tech-On!関連記事),製造業向け電機設備事業を東芝と統合する(Tech-On!関連記事)といった施策を遂行した。この結果,2005年度には830億円の純利益を見込めるほどに業績を回復させた。

従来路線を継承しつつ,強い事業は世界を攻める

 野間口氏の経営路線を継承するという下村氏は「三菱電機を,多少の変動要因にもビクともしない体質にする」(下村氏)と意欲を示した。さらに,技術的優位性が高いと判断するFA(ファクトリー・オートメーション),昇降機,自動車機器の3事業については,世界シェアをさらに伸ばし,事業の地盤を固めたい考え。一方で,テレビ受像機や携帯電話機といったエレクトロニクス事業については,無理な海外進出などは行わず,まずは現行のビジネスの枠内で収益の改善に努める考えのようだ。

 下村氏は1969年に三菱電機に入社。「そのころは,ちょうど自動車にエレクトロニクス技術が導入される黎明期だった」(同氏)。当時はエンジン制御システムの開発などを手掛けていたという。1997年に自動車機器開発センター長,2001年に自動車機器事業本部長を歴任した後,2003年5月からビルシステム事業本部長を兼務し,昇降機事業の中国進出を主導した(Tech-On!関連記事)。