2006年4月17~21日に,東京・秋葉原で開かれる予定のSIP機器の相互接続イベント「SIPIT 18(Session Initiation Protocol Interoperability Tests 18)」に,NTTグループ,KDDI,ソフトバンク・グループ,フュージョン・コミュニケーションズといった国内の通信事業者(キャリア)がそろって参加することが明らかになった。

 SIPITは,SIP端末(IP電話端末など)やSIPサーバー,IP-PBX装置といったSIP関連の機器や試作品を参加者が持ち寄り,相互接続試験を行う国際的なイベントで,これまで17回開催されている。国内での開催は今回が初めてになる。

 SIPは,IP電話などで信号制御(呼制御)に使われるインターネット標準のプロトコルである。SIPITには機器メーカーや通信事業者,構築事業者などが参加する。主催者はネットワーク環境を用意するなど場を提供するだけ。テスト自体は原則として参加者同士の直接交渉で組み合わせを決め,自由に行う仕組みを採る。これまで国内の大手通信事業者や機器メーカーは,SIPITにあまり積極的に参加してこなかった。

 ところが,今回のSIPIT 18で国内通信事業者各社は,イベントの協賛企業として名を連ねるだけでなく,イベント自体に積極的に参加する。会場と局舎を専用線で接続し,自社で稼働中のSIP設備を相互接続テストに提供する計画もある。関係者によると,通信事業者によるこうした試み自体が,これまでのSIPITでもあまり見られなかったという。

 通信事業者各社が今回のSIPIT 18に注力する背景には,NGN(Next Generation Network)と呼ばれる通信事業者の次世代ネットワークがありそうだ。NGNではすべての通信がIP化される。その際,通信制御のカギとなる技術がSIPだからである。

 前回のSIPIT 17は2005年9月にスウェーデンのストックホルムで開催され,59の企業,団体が参加した。アジアでの開催は,2004年7月に台湾で開かれたSIPIT 15以来,2回目。主催は開催国の企業が持ち回りで担当するしくみで,今回は日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が務める。

 現時点で明らかになっているSIPIT 17の協賛企業は以下の通り。NTTアドバンステクノロジ,沖電気工業,KDDI,シスコシステムズ,ソフトバンクBB,ソフトフロント,NTT西日本,日本テレコム,NEC,NTT,ネットマークス,三菱総合研究所,三菱電機情報ネットワーク,NTT東日本,フラクタリスト,フュージョン・コミュニケーションズ。