東芝は2005年度第3四半期の決算を発表した。売上高は1兆5831億円で前年同期に比べ16%増,営業損益は前年同期(9億円)に比べ637億円の増収増益となった。メモリーを中心に半導体事業が好調な電子デバイス部門や,電力・社会システム事業が好調な社会インフラ部門が牽引役となった。また,赤字続きだった家電部門も営業利益8億円(前年同期は52億円の損失)で黒字となった。

 電子デバイス部門は,液晶ディスプレイが価格低下で減益だったものの,半導体事業でのメモリーやシステムLSIの売り上げが好調で,売上高3675億円(前年同期は2979億円),営業損益375億円(前年同期は52億円)と増収増益。2005年第1四半期からの累計でも売上高は1兆211億円(前年同期は9817億円),営業利益は793億円(前年同期は726億円)となった。前年同期は133億円の赤字だった社会インフラ部門も,医用システムや電力・社会システム事業が好調で,今期は営業利益82億円と第2四半期に引き続き黒字。今年度の累計の営業利益も116億円と前年同期の220億円の損失に比べ大幅に改善している。

 家電部門も回復傾向にある。売上高は前年同期(1581億円)に比べ8%増の1711億円。前年同期には52億円の損失だった営業損益は8億円の利益と改善し,「家電も通期で黒字に浮上する可能性が出てきた」(同社)。トップシェアを誇る洗濯機が好調なほか,外形の大きさを抑えて内容量を拡張した冷蔵庫や吸引力が落ちない掃除機などが売れて収益改善に貢献。今期は照明関係も好調だったという。ただし,2005年第1四半期からの累計は,上半期の不振が響いて55億円の損失となっている。

 デジタルプロダクツ部門も,営業損益が前年同期(112億円)を上回る133億円と好調。今年度の累計でも前年同期には16億円の損失だったが,199億円の黒字と大幅に増大している。ストレージや携帯電話の売り上げが伸びているほか,米国や欧州を中心にパソコン事業も伸長。パソコンの価格は相変わらず下落傾向にあるものの,販売台数が大幅に増えたことから増収となった。

 家電部門を除けば,今期までの累計はいずれのセグメントも増収増益で,これに伴って2005年度通期の業績見通しも上方修正。期初の見込みが6兆円だった売上高を6兆3000億円に,1700億円だった営業利益を2100億円に修正している。

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