NEC 取締役 執行役員常務の的井保夫氏
NEC 取締役 執行役員常務の的井保夫氏
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 NECは2005年度第3四半期(2005年10月~12月)連結決算を発表した。売上高は対前年度同期比2.6%増の1兆1447億円と増収になったが,営業利益は同8.1%減の190億円の減益だった。携帯電話機の出荷台数が減少した上に単価が下落したことや,子会社のNECエレクトロニクスによる半導体事業が減益となったことが影響した。

 セグメント別の実績は以下の通り。パソコンやサーバなどを扱う「ITソリューション事業」の売上高は対前年度同期比4%増の5123億円だった。国内のパソコン出荷台数は同21%増の68万台となり,「パーソナルソリューション分野」の売上高は同16%増の2071億円と伸びた。年末商戦などに関連して,新製品の発表および発売時期を従来の1月から12月に前倒ししたためとしている。86系マイクロプロセサを用いたIAサーバの国内シェア1位を奪回するなど,サーバ製品は堅調だった。しかし,ITソリューション事業全体の営業利益は単価下落などの影響を受け,同92億円減の168億円だった。

 携帯電話機や通信インフラなどを扱う「ネットワークソリューション事業」の売上高は対前年度同期比6%減の4083億円だったものの,営業利益は同63億円増の132億円を確保した。この中で携帯電話機などを扱う「モバイルターミナル分野」の売上高は同445億円減の1071億円と大幅に落ち込んだ。携帯電話機は海外向け3G機の出荷がほぼなくなったことなどの影響を受け,今期の携帯電話機の出荷台数は310万台と,前年度同期に比べて10万台減少した。さらに,中国市場などで在庫調整のために単価が下落したことも減収の一因となった。インフラ構築投資は引き続き好調だったことから「モバイルインフラ分野」は同318億円増の1235億円の増収となった。

 半導体やディスプレイ,電子部品を扱う「エレクトロンデバイス事業」は売上高が対前年度同期比2%減の2075億円,営業損益は同50億円減の28億円の赤字だった。売上高の減少や製品単価の下落などが減益の原因だったとしている。

 NECは不振のエレクトロンデバイス事業とモバイルターミナル分野の転換を図る。具体的には,エレクトロンデバイス分野について特に販売を強化する。モバイルターミナル分野は中国市場向けの機種を上位機種のみに絞ることで,流通在庫の調整や価格下落といった損益の要因を減らす予定。日本国内に関してはボーダフォン向けの製品を出して出荷台数を増やしたり,企業向けのIP電話対応携帯電話機に力を入れたりすることで出荷台数を伸ばすとしている。なお今回,2005年度通期予想は2005年10月の発表から変更していない。

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