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 ノリタケカンパニーリミテドは東京大学と共同で,メタノールや水素といった燃料のクロスオーバーを低減できる電解質膜を開発,その成果を「第2回国際水素・燃料電池展」(2006年1月25~27日,東京ビッグサイト)でパネル展示した。ダイレクトメタノール方式の燃料電池(DMFC)に同膜を使った場合,メタノールのクロスオーバーを従来の1/15~1/30に低減できるという。

 パネル展示した膜は,アルミナやジルコニアといった多孔質の無機材料を使うのが特徴。その孔(あな)の中にモノマを充てんし,内部で重合させる。多孔質の中で重合してできたポリマが炭化水素系の電解質となる。この電解質膜は,科学技術振興機構のプロジェクによる成果をベースに,同社と東京大学が共同で研究開発してきたものという。

 無機材料を使うことでメタノールや水素のクロスオーバーを低減できるのは,その要因とされる電解質膜の膨潤を抑制できるから。弾力の少ない無機材料が電解質膜の膨潤を物理的に抑える。

 使用している無機材料には径が50μmほどの孔が多数開いている。小さな孔であるため,分子量の大きなポリマを充てんすることは難しかった。モノマを充てんし,内部で重合させているのは,そうした理由からだ。ちなみに,電解質は炭化水素系ではなく,フッ素系のものでも大丈夫という。