メイン・ボードを取り外すために配線を外す
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 アップルコンピュータが1月11日に発売した86系マイクロプロセサを搭載した新しいiMac(17インチ・モデル)を分解し,メイン・ボードを取り外した。メイン・ボードの内容を詳しく見ていこう。

 Intel iMacのメイン・ボードは縦180×横330mm(いずれも最長部)とかなり大きい。チップはぎっしりというより比較的余裕を持って配置されているように見える。ボードの表側にはIntel社製のメモリ・コントローラLSIと,入出力LSI,IEEE802.11対応無線LANモジュールやBluetooth用のモジュールが配置される。

 基板の裏面には,マイクロプロセサ,カナダATI Technologies Inc製のグラフィックスLSIが実装してあるほか,EthernetやIEEE1394,USB2.0のコネクタが並ぶ。これらのコネクタはiMac背面の筐体の曲面に合わせるために,基板に対して斜めに取り付けられている。

 このようにIntel iMacはマイクロプロセサとチップセットこそ,Intel社のものを採用しているが,それ以外には他社のLSIを採用している。Intel iMacに採用したメモリ・コントローラLSI「945GM」はグラフィックス描画回路を内蔵しているが,iMacではその機能を使わず,あえてATI製のグラフィクスLSIを別途搭載している。GビットEthenetやIEEE1394,無線LAN用のLSIもIntel社製ではない。「Intel社のリファレンス・デザインそのままの設計ではない」という米Apple社の主張は正しいと言えそうだ。

 Intel iMacは,IEEE802.11無線LANに米Broadcom Corp.製のモジュールを採用している。こうしたハードウエアの仕様が2月に登場するノートパソコン「MacBook Pro」とも共通すると仮定すると,MacBook ProはIntel社の「Centrino Duo モバイル・テクノロジ」の認定は受けられないだろう。

 無線LANのモジュールはBroadcom社がApple社向けにOEMした製品と思われ,「BCM94311MCAG」という型番が付いている。Broadcom社のWWWサイトの情報によると,このモジュールで使われているLSI「BCM4311」は2.4GHz帯を使う802.11b/gだけでなく,5GHz帯を使う802.11aにも対応する。また,モジュールにはアンテナ接続用の端子が二つあるがiMacでは片方しか使われていない。製品コードの末尾が「AG」であることを考え合わせると,無線LANモジュール自体はIEEE802.11aにも対応している可能性がある。

日経エレクトロニクス2006年1月30日号の発行に合わせ,メインボードの超高解像度写真をダウンロードできるように差し替えました。本誌記事「Intel iMacを解剖」と合わせて,お楽しみ下さい。

■「日経エレクトロニクス・分解班の軌跡」のページへ

取り外したIntel iMacメイン・ボード(表側)。左上は基板裏側に配置したマイクロプロセサ用のヒートシンク。基板中央のヒートシンクの下にはIntel社製のメモリ・コントローラLSI(ノースブリッジ)「82945GM(945GM)」がある
取り外したIntel iMacメイン・ボード(表側)。左上は基板裏側に配置したマイクロプロセサ用のヒートシンク。基板中央のヒートシンクの下にはIntel社製のメモリ・コントローラLSI(ノースブリッジ)「82945GM(945GM)」がある
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メイン・ボードの裏側に配置したマイクロプロセサの熱はヒートパイプを通じてヒートシンクに導かれる。ヒートシンクは基板の表と裏から挟みこむように固定されていた
メイン・ボードの裏側に配置したマイクロプロセサの熱はヒートパイプを通じてヒートシンクに導かれる。ヒートシンクは基板の表と裏から挟みこむように固定されていた
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メインボードのCPU側。Intel製のCore Duoプロセサは基板右上に斜めに配置されている。中央にはATI製のグラフィックスLSI「Radeon X1600」が見える。中央右下の黒い部品は電源回路との接続コネクタ。★クリックすると横3461画素,縦2089画素の大きなサイズ(約1.6MB)の画像が開きます★
メインボードのCPU側。Intel製のCore Duoプロセサは基板右上に斜めに配置されている。中央にはATI製のグラフィックスLSI「Radeon X1600」が見える。中央右下の黒い部品は電源回路との接続コネクタ。★クリックすると横3461画素,縦2089画素の大きなサイズ(約1.6MB)の画像が開きます★
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ヒートシンク類を取り外したメイン・ボード。中央左がIntel社製のメモリ・コントローラLSI(ノースブリッジ)「82945GM(945GM)」,中央右には入出力コントローラLSI(サウスブリッジ)「82801GBM(ICH7-M)」が見える。基板右側にBluetooth,左下にIEEE802.11無線LANのモジュールが配置されている。★クリックすると横3427画素,縦1944画素の大きなサイズ(約1.7MB)の画像が開きます★
ヒートシンク類を取り外したメイン・ボード。中央左がIntel社製のメモリ・コントローラLSI(ノースブリッジ)「82945GM(945GM)」,中央右には入出力コントローラLSI(サウスブリッジ)「82801GBM(ICH7-M)」が見える。基板右側にBluetooth,左下にIEEE802.11無線LANのモジュールが配置されている。★クリックすると横3427画素,縦1944画素の大きなサイズ(約1.7MB)の画像が開きます★
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主要なLSIの拡大写真。左上から時計回りにIntel製のCore Duoプロセサ「T2400」,右上はIntel製のメモリ制御LSI「945GM」,右下は同じく入出力コントローラLSI「ICH7-M」,左下はATI 製のグラフィックスLSI「Radeon X1600」。Core Duoプロセサに刻印されたsSpecコードは「SL8VQ」,1.83/2M/667(動作周波数/L2キャッシュ・サイズ/FSB周波数)という刻印もあった。グラフィックス用メモリーは韓国Samsung Electronics製
主要なLSIの拡大写真。左上から時計回りにIntel製のCore Duoプロセサ「T2400」,右上はIntel製のメモリ制御LSI「945GM」,右下は同じく入出力コントローラLSI「ICH7-M」,左下はATI 製のグラフィックスLSI「Radeon X1600」。Core Duoプロセサに刻印されたsSpecコードは「SL8VQ」,1.83/2M/667(動作周波数/L2キャッシュ・サイズ/FSB周波数)という刻印もあった。グラフィックス用メモリーは韓国Samsung Electronics製
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周辺I/O用のLSI。Broadcom製LSI「BCM4311」が搭載されたIEEE802.11無線LANモジュール(左上),アップルコンピュータの刻印のあるBluetoothモジュール(右上),下写真の左が米Marvell Technology Group Ltd製のギガビット・イーサネット制御LSI「88E8053」,右は米 Agere Systems Inc.製のIEEE1394a制御LSI「FW323-06」
周辺I/O用のLSI。Broadcom製LSI「BCM4311」が搭載されたIEEE802.11無線LANモジュール(左上),アップルコンピュータの刻印のあるBluetoothモジュール(右上),下写真の左が米Marvell Technology Group Ltd製のギガビット・イーサネット制御LSI「88E8053」,右は米 Agere Systems Inc.製のIEEE1394a制御LSI「FW323-06」
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