送信側の装置。サーバ機のような筐体に収まっている
送信側の装置。サーバ機のような筐体に収まっている
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装置内部。左側にはIEEE802.11a準拠のRF回路がチャネル数分だけ実装されている。右側のボードがベースバンド処理回路であり,FPGAなどで構成している
装置内部。左側にはIEEE802.11a準拠のRF回路がチャネル数分だけ実装されている。右側のボードがベースバンド処理回路であり,FPGAなどで構成している
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実演では,2台のテレビ受像機を並べ,有線経由での映像と無線経由での映像に際立った差異が見られないことをアピールした
実演では,2台のテレビ受像機を並べ,有線経由での映像と無線経由での映像に際立った差異が見られないことをアピールした
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 イスラエルAMIMON Ltd.は,同社が開発した1.5Gビット/秒の無線インタフェース「WHDI(Wireless High-Definition Interface)の伝送デモを,CES会場近くのホテルで,一部の顧客向けに披露した(Tech-On!の関連記事)。MIMO技術と独自開発の信号処理技術を組み合わせることで,20MHzの帯域幅で1.5Gビット/秒のデータ伝送速度を実現したという。2006年中のチップセット出荷を目指している。

 無線伝送の周波数には5GHz帯を利用する。同周波数帯を利用する無線LAN規格「IEEE802.11a」の送信回路および受信回路を複数並列してMIMO伝送(送信側が3チャネル,受信側が4チャネル)する構成を採った。実演では,DVIケーブルでパソコンから出力されたHD映像(720p)を,専用の送信機を使って数m伝送し,専用の受信機で受け,その後テレビ受像機で表示した。

 RF回路は個別部品で,ベースバンド処理回路はFPGAで構成している。このため送信側および受信側ともサーバ機なみの大きな筐体におさまっていた。今回のデモでは720pの映像を用いたためデータ伝送速度は1.3Gビット/秒だったが,伝送速度1.5Gビット/秒で1080iの映像を送ることも可能という。なお1080pの映像を伝送するには3Gビット/秒が必要なことから,そこまでの伝送には適用できない。

 受信側4チャネルのMIMO伝送により実効的な帯域を約4倍に広げたが,それだけでは1.5Gビット/秒を達成できない。同社は高速伝送を実現できた最大の理由は,「Joint Source Channel Coding(JSCC)」と呼ぶ信号処理技術にあるという。「JSCCでは誤り訂正における符号化率を情報ビットの重要性に応じて変化させる。これが伝送速度向上に大きく寄与している。こうした手法は学会などではよく知られているが,実際に製品に応用する例は少ない」(イスラエルAMIMON Ltd.,Chairman & CEOのYoav Nissan-Cohen氏)としている。