「映画や音楽をいつでもどこでも楽しめるようにする環境作りこそ,ソニーの使命だ」(ソニー 会長兼CEOのHoward Stringer氏)——。
ソニーのStringer氏は,デジタル・コンテンツをユーザが手軽に楽しめるようにすることを目指す同社のビジョンを,「2006 International CES」の基調講演で繰り返しアピールした。講演の前半は2006年5月に公開予定の映画「ダ・ビンチ・コード」を引き合いに出しながらが進められ,もはやエレクトロニクス企業がデジタル・コンテンツと切り離せない密接な関係にあることを改めて来場者に印象づけるものだった。
Stringer氏は2006年春に出荷する新製品として,電子ブック端末「Sony Reader」を紹介した。端末にダ・ビンチ・コードの原著を表示し,実際に操作することでその利便性を訴えた。さらにデジタル・シネマに関する取り組みを紹介する場面ではダ・ビンチ・コードの予告映像を公開したり,主演俳優のTom Hanks氏や監督を招き入れるなどして来場者を驚かせた。Stringer氏とゲストの間でデジタル・コンテンツの楽しみ方などの議論に花が咲き,会場は大いに盛り上がった。
「ロケーション・フリー」技術を利用して,プレイステーション・ポータブル(PSP)で映像コンテンツを楽しむデモンストレーションも公開した。同技術は,遠隔地のサーバに格納した映像コンテンツを,IPネットワークを介してどこででも楽しめるようにするというもの。ラスベガスの会場から,東京やニューヨークのテレビ番組を,PSPの画面に映し出して楽しむ様子を披露した。
Blu-ray Disc関連の取り組みを紹介する場面では,同規格への支持を打ち出している米Dell Inc. 会長のMichael Dell氏が登場した。Dell氏は同社が販売するパソコンに,Blu-ray Disc装置を搭載する方針であると重ねて強調した。プレイステーション3関連での新たな発表はなかったものの,製作が進むゲーム・タイトルのデモ映像を巨大スクリーンに映し出した。