開発した電力線通信用アダプタ
開発した電力線通信用アダプタ
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電力線経由で制御するネットワーク・カメラも披露
電力線経由で制御するネットワーク・カメラも披露
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 松下電器産業は,家庭内ネットワークに向けた電力線通信用アダプタを開発,2006年春ごろから米国などで販売することを明らかにした。

 2006 International CESの会場付近で,報道関係者向けに発売予定の実機を公開した。松下電器は2005年1月に開催された前回のCESにおいて,電力線通信用の1チップLSIを発表していた(Tech-On!の関連記事)。2005年8月には米カリフォルニア州サンノゼに伝送実験の拠点を設け,実際の家庭などで伝送試験などを進めてきた。

 今回のアダプタは,電力線通信用に開発した専用LSIを中心に,Ethernetインタフェースや電源回路などを集積した。Ethernetを使ってパソコンやテレビ受像機などと接続し,部屋間などの長距離伝送部分に電力線を使う。物理層の最大データ伝送速度は約190Mビット/秒で,「MAC層レベルでも50Mビット/秒程度を確保できる」(松下電器産業)という。伝送方式には,松下電器が独自に開発した「Wavelet OFDM」を利用する。伝送に4MHz~28MHz程度の周波数帯域を使うことで,高速伝送を実現した。なお日本での発売は,日本の法規制の状況を見定めながら判断するという。

 アダプタの価格は,「単品で129米ドル程度,ペアで199米ドル程度を予定する」(松下電器産業)という。同社は,ほかの機器への組み込み用途を強く意識しており,基板サイズを現行の1/3程度まで小型化したモジュールの開発に着手しているという。なお,2006 International CESの会場でも今回の電力線通信用アダプタの動作を実演する予定。