DIRECTV2GOコンテンツ搭載の「LYRA X3000」
DIRECTV2GOコンテンツ搭載の「LYRA X3000」
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無線LAN対応の「Wi-Q Universal Remote Control」
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「LYRA X3000」の特徴
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Wi-Qの画面例
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 仏Thomson S.A.は「2006 International CES」の正式開催に先立ち,報道機関向けの発表会を行った。昨年の同様の発表会では,舞台をテレビが埋め尽くしていて,話題の多くがデジタル・テレビ関連だった(関連記事1同2同3)。しかし今回は全く違う内容だった。同社のテレビ事業部が中国TCL社に移って時間がたったことからテレビ関連の発表はほとんどなく,インターネットや家庭内ネットワークを活用したサービスや端末などに主役が移った。

 中でも目立ったのは,同社のRCAブランドで販売している携帯型機器の最新版「LYRA X3000」である。LYRAは携帯型マルチメディア機器で,内蔵するハード・ディスク装置(HDD)に動画データなどを蓄積し,出先などで再生することができる。

 従来版はパソコンと一緒に使うのが前提だったが,最新版では自らアナログ信号をデジタル変換し,高能率符号化できるので,単独でも使えるようになった。MPEG-2だけでなくMPEG-4にも対応。満充電すれば4時間の連続再生ができる。機器の厚さは約8mmほどと薄くしたという。

 さらに2006年末までに米DIRECTV, Inc.が提供予定の,衛星放送されたコンテンツを録画して携帯端末に移し,出先で視聴できるようにするサービス「DIRECTV2GO」にも対応する予定だ(発表資料その1)。HDDを内蔵し録画機能を備える衛星放送用セットトップ・ボックスと,USB 2.0でつないでMPEG-2などのコンテンツをそのまま転送する(DIRECTV2GOを利用するには,無料のソフトウエアをセットトップ・ボックスにダウンロードして組み込む必要がある)。その際には,番組名といったメタデータも自動で転送できるとする。DIRECTV2GOのDRM技術やコピー制限の情報は現在のところ不明である。

 なお,衛星放送「DISH Network」を提供する米EchoStar Communications Corp.は,DIRECTV社に先立って2005年10月,同様の連携が可能な携帯型機器「PocketDISH」を既に発表している。相次ぐこうした動きの裏には,米Apple Computer, Inc.が提供し始めた,iPodに動画データを取り込んで再生できるようにするサービスなどへの対抗手段が必要になったことがあろう。LYRA X3000は,2006年1月から399米ドルで発売の予定である。

Wi-Fiリモコンが登場

 同社はAcoustic Researchのブランドで販売するIEEE802.11b/g対応の「Wi-Q Universal Remote Control」と呼ぶ多機能リモコンも公開した(発表資料その2)。Wi-Qは,無線LAN経由でインターネットにつなぐことができ,リモコンが備える小型のカラー・ディスプレイにEPGなどの情報やニュース,天気予報,スポーツ情報などを表示できる。

 Wi-Qは,無線LAN対応の携帯機器などでEPG情報などを使えるようにする技術を開発した英TVcompass Ltd.との協力で作製した。Thomson社は,家族のだれかがテレビ番組を楽しんでいるときに,もう1人が次に見たいテレビ番組を探したり,天気予報を見たりといったことをしたいユーザーがWi-Qをほしがるだろうと期待している。同リモコンは,前述のEPGやニュース情報などはもちろん,ユーザーがリモコンで操作したい対象機器の設定情報も無線LANを介して取得できるという。Wi-Qは2006年春に299米ドルで発売する。