「2006 International CES」に先立って開催されたプレ・イベント「CES Unveiled」でSeagate社が見せていた,8Gバイトの1インチ型などの製品。
「2006 International CES」に先立って開催されたプレ・イベント「CES Unveiled」でSeagate社が見せていた,8Gバイトの1インチ型などの製品。
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「2006 International CES」の事前イベント「CES Unveiled」の会場で,ハード・ディスク装置(HDD)大手の米Seagate Technology LLC でGlobal Consumer Electronics Marketing,Directorを務めるRob Peit氏に,家電向けHDDなどに対する同社の取り組みを聞いた。(聞き手=今井拓司)

−−最近の製品の動向は。

 2005年12月に8Gバイトの1インチ型の量産を始めたところだ。12月には,当社として初めて垂直記録方式を用いたHDDの量産も開始した。160Gバイトの2.5インチ型HDDだ(関連記事)。今後18カ月で,すべてのHDDを垂直記録方式に変えていきたい。すでに垂直記録用の部品の準備などを整えている。垂直記録方式を使うことで,現在は1年で30~40%増程度にとどまっている面記録密度の伸びを,年間50~60%増に戻せるかもしれない。

−−今回のCESでは何か発表するのか。

 小粒な発表の予定はあるが,大きな発表はない。現在力を入れていて,将来大きな発表になりそうなものに,携帯電話機向けのHDDがある。携帯電話機メーカーの要求を満たせるように,1インチ型のディスクを使ったまま,外形寸法をできる限り小さくしようとしている。電子部品を小さくしたり,インタフェースのポートを変えたりするなどの工夫が必要だ。家電向けインタフェースの「CE-ATA」が役に立ちそうだ。いつできるかは言えない。東芝の0.85インチ型では容量が小さすぎる。

−−米Maxtor社を買収するのはなぜか(関連記事)。

 Maxtorを買収するのは,お買い得だったからといえる。安い買収額で,高い売上高を確保できる。50セントで1ドルの売上高を買ったようなものだ。以前,Maxtor社が米Quantum社のHDD部門を買収し,日立製作所が米IBM社のHDD部門を傘下におさめたころ,もうひとつ大型合併があれば,業界の将来は安泰といわれていた。それが今回起きた。

−−フラッシュ・メモリの台頭を脅威に感じるか。

 脅威とは思っていない。フラッシュ・メモリの市場は拡大するが,同時にHDDの市場も拡大すると確信している。私が初めてかかわった製品の容量は4Gバイトで,当時もそれほどの大容量がいるのかと言われたものだ。その後も容量が拡大し続けたように,今後も安価で大容量なHDDに対する需要は伸びるだろう。

−−米Apple Computer社が突然「iPod mini」の生産をやめてしまったが。

 こうした突発事には,1インチ型HDDを製造していた工場のラインを即座に2.5インチ型に向けに変えるなどの方法で対処できる。1インチ型HDDの需要は今後も拡大すると考えている。音楽プレーヤ向けはもちろん,今後はPDAくらいの大きさのナビゲーション装置に期待している。5G~6Gバイトの1インチ型HDDに詳細な地図や音楽データなどを格納する。カーナビとして使える。

−−1.8インチ型は手がけないのか。

 我々が1.8インチ型を生産していないのは,顧客から要求が来ないため。要求があればやる。