ソニーは,超広帯域を利用する無線通信技術「UWB(Ultra Wideband)」に向けたチップを開発,ISSCC2006で発表する(講演番号 14.5)。
 
 発表するのは,UWBの送受信回路におけるデジタル側のPHYおよびMAC制御回路を組み込んだ1チップLSIである。講演概要によれば,最大64台までの端末をメッシュ型に接続し,分散アクセス制御を行なうことが可能という。複数台のデジタル家電機器を相互に接続する,家庭内ネットワークへの応用を目指すものとみられる。ソニーは前回の「ISSCC2005」においても,UWB用のRFトランシーバICを発表していた(Tech-On!の関連記事)。

 講演の名称は「A DSSS UWB Digital PHY/MAC Transceiver for Wireless Ad-Hoc Mesh Networks with Distributed Control」。伝送方式としては,直接拡散方式のスペクトラム拡散技術に対応する。米Intel Corp.などが推進する「WiMedia」で利用するマルチバンドOFDMとは異なる手法である。ISSCC2005で発表したRFトランシーバICも,直接拡散方式のスペクトラム拡散技術を使っていた。

 130nmのCMOS技術を用い,チップ寸法は12.2mm2。コア部分の最大消費電力は,1.2V動作時に181mWである。なお,前回発表したRFトランシーバICの消費電力は,送信時に105mW,受信時に280mWだった。