写真:タワーレコードの伏谷博之氏(写真右,代表取締役社長,最高経営責任者)と,NTTドコモの夏野剛氏(写真左,執行役員プロダクト&サービス本部,マルチメディアサービス部長)。
写真:タワーレコードの伏谷博之氏(写真右,代表取締役社長,最高経営責任者)と,NTTドコモの夏野剛氏(写真左,執行役員プロダクト&サービス本部,マルチメディアサービス部長)。
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 NTTドコモとタワーレコードは,業務提携を目的とした資本提携を結ぶことで合意した。NTTドコモは,増資引き受けなどにより,タワーレコードの発行済株式の約42%を約128億円で取得し,筆頭株主となる。資本提携の時期は2005年11月下旬をメドとする。NTTドコモはタワーレコードに非常勤役員を派遣する方向で検討している。

まず「おサイフケータイ」から

 両社が開いた記者会見では,検討中の協業内容として,以下の内容を挙げた。ただし,音楽配信事業に関しては詳細に関するコメントを避けた。

(1)「おサイフケータイ」での協業。NTTドコモが今後提供予定の「おサイフケータイ」(非接触型ICカード「FeliCa」の機能を内蔵した携帯電話機向けサービス)を使ったクレジット決済サービスのモデル店として,タワーレコード各店舗での決済サービスの導入を検討する。NTTドコモの新サービス「トルカ」(おサイフケータイでクーポン券などを利用可能とする)などと連携したサービスも検討する。

(2)音楽関連のコンテンツでの協業。携帯電話機による楽曲試聴サービス,新譜やアーティストに関する情報の充実など。

音楽配信は「深く,積極的に,検討中」

 発表内容では音楽配信事業については触れなかった。タワーレコードの伏谷博之氏(代表取締役社長,最高経営責任者)は記者の質問に答えて「音楽配信については,非常に深く,積極的に,考えている。検討がより進んだ段階で発表したい」とコメントするにとどまった。

 同席したNTTドコモの夏野剛氏(執行役員プロダクト&サービス本部,マルチメディアサービス部長)は,「音楽とケータイのコラボレーションは,(KDDIのサービスである)『着うたフル』のような音楽配信にとどまるものではない。資本提携によりタワーレコードは連結決算の対象となる。音楽に関する情報を配信することでタワーレコードの店舗での売り上げが増え,収益が増えれば,NTTドコモの財務上にも目に見える形でメリットがある」と,総合的な協業であることを強調した。

 なお,タワーレコードは2005年10月に,音楽配信を手掛ける米Napster, LLCとの合弁会社「ナップスタージャパン」を発足させている(Tech-On! 関連記事)。ナップスタージャパンが手がける音楽配信がNTTドコモのサービスがどのように連携するのかという点については,「ナップスタージャパンのサービスは現在設計段階にあるため,連携については検討中だ。NTTドコモ本体が音楽配信を手掛けることはない」(夏野氏)としている。