ザインエレクトロニクスとチップワンストップ,日興アントファクトリーは,エレクトロニクス業界に特化したベンチャー企業向け投資ファンド「イノーヴァ」を2006年1月下旬に設立する。エレクトロニクス業界に特化している点のほかに,ザインエレクトロニクス 代表取締役社長の飯塚哲哉氏やチップワンストップ 代表取締役社長の高乗正行氏が経営の指導や相談に乗ったり,社外取締役に就任したりするなど経営面のサポートをするのが特徴という。

 ファンド設立の背景には,大手企業が「選択と集中」を続ける中,本来ならばベンチャー起業が多数生まれるのがエレクトロニクス業界の発展にとって望ましいが,実際にはそうなっていないことがあるという。ザインエレクトロニクスらは,大手企業のエンジニアが起業で成功する事例を増やすことで,大手企業から優秀な人材が出てきやすい環境作りを目指す。そうすることで,結果的には大手企業が優秀な人材が起業したベンチャー企業と一緒に成長したり,優秀な人材を採用しやすくなるとする。

 イノーヴァの投資対象は,半導体や電子部品などのハードウエア,設計や製造を支援するソフトウエア,製品化のために必要な関連サービスなどエレクトロニクス業界全般である。ザインエレクトロニクスらのほかに図研を加えた4社で約10億円の出資を行う。国内のエレクトロニクス分野の事業会社や機関投資家からも出資を受ける予定という。運用期間は8年間で,10社~20社程度のベンチャー企業に投資する。