図1 2005年度上半期の決算を説明するNEC取締役で執行役員常務の的井保夫氏
図1 2005年度上半期の決算を説明するNEC取締役で執行役員常務の的井保夫氏
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 NECの2005年度上半期(2005年4月~9月)連結決算は減収減益となった(発表資料図1)。売上高は対前年度同期比3.0%減の2兆2330億円,営業利益は同463億円減の130億円だった。携帯電話機の出荷台数が予想を大きく下回ったことや,子会社のNECエレクトロニクスによる半導体事業の不振(Tech-On!の関連記事1同2)が響いた。当期純利益は,対前年度同期比34.9%減の164億円である。

 併せて発表した2005年度通期(2005年4月~2006年3月)の業績予想は,売上高が対前年度比1.5%増の4兆9300億円,営業利益が同312億円減の1000億円である。いずれも期初の予想を下方修正した。

携帯電話機の出荷台数は通期予想を2/3に

 2005年度上半期の実績をセグメント別に見ると,システム構築やサーバ,パソコンなどの事業から成る「ITソリューション事業」は増収減益となった。サーバ製品が堅調だったことなどが寄与した。売上高は対前年度同期比2.8%増の9901億円,営業利益は同79億円減の264億円となった。2005年度通期では増収増益となる2兆2000億円の売上高,1150億円の営業利益を見込む。

 携帯電話機やネットワーク・インフラなどの事業から成る「ネットワークソリューション事業」は,売上高が対前年度同期比9.8%減の8113億円,営業利益が同45億円減の137億円と減収減益だった。平成電電の民事再生法申請(Tech-On!の関連記事3)の影響で約40億円の引当金を計上したことが営業利益の減少に影響した。携帯電話ネットワークのインフラは「パケット通信定額サービスの特需に沸いた昨年度並みの好調を維持した」(NEC取締役で執行役員常務の的井保夫氏)ものの,携帯電話機事業の落ち込みが激しかった(図2)。

 2005年度上期の携帯電話機出荷台数は470万台と,前年度同期の600万台から2割以上減少した。携帯電話機事業単体で2005年度上期に150億円の赤字を計上し,同年度通期で200数十億円の赤字を見込むという。携帯電話機の2005年度通期の出荷台数予想を1000万台強に下方修正した。期初の予想は1500万台だった。下期は,国内では3G端末の品ぞろえを強化し,海外では機種の絞り込みを進めるという。海外ではこれまで中国を中心に「出荷台数の増加を狙ってきたが,利益を重視していく」(的井氏)。

 ネットワークソリューション事業の2005年度通期予想は,売上高が対前年度3.3%減の1兆8300億円,営業利益が同235億円増の500億円である。携帯電話サービスのインフラ事業の収益拡大を見込む。既に同事業は,海外では2桁の利益率を達成しているという。

デバイス事業は赤字に転落

 半導体や電子部品などの事業から成る「エレクトロンデバイス事業」は,売上高が対前年度同期比14.9%減の3927億円だった。営業損益は,前年度同期の338億円の黒字から,97億円の赤字に転落した。売上高のおよそ8割を占める半導体事業が振るわなかった。自動車向けと産業機器向け以外,半導体はすべての分野で売り上げが減少したという。

 NEC液晶テクノロジーによるディスプレイ事業と,NECトーキンによる電子部品事業は,いずれも堅調に推移した。ディスプレイ事業の売上高は,パイオニアに譲渡したPDP事業の売り上げを計上していた前年度同期に比べ14.5%減の330億円だった。電子部品事業の売上高は,対前年度同期比1.7%増の468億円だった。エレクトロンデバイス事業全体の2005年度通期予想を,売上高が7900億円,営業損失が280億円と,いずれも下方修正した。

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図2 ネットワーク・インフラ事業の売上高は2004年度同期と同程度だったが,携帯電話機事業が大きく落ち込んだ。2005年度通期では,携帯電話サービスのインフラ事業の利益率拡大などで増益を見込む。
図2 ネットワーク・インフラ事業の売上高は2004年度同期と同程度だったが,携帯電話機事業が大きく落ち込んだ。2005年度通期では,携帯電話サービスのインフラ事業の利益率拡大などで増益を見込む。
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