佐治氏。「フラッシュ・メモリ,そろそろ単価が下げ止まると思っていた」
佐治氏。「フラッシュ・メモリ,そろそろ単価が下げ止まると思っていた」
[画像のクリックで拡大表示]

 シャープは2005年度中間期(4月~9月)の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比6%増の1兆3355億円,営業利益は同3%減の751億円,純利益は同7%減の365億円だった。液晶テレビや携帯電話機,液晶パネルなどが好調で9月中間期としては過去最高の売上高を記録した。一方で「半導体市況の悪化によるNOR型フラッシュ・メモリの単価下落の影響を受けた」(同社 代表取締役副社長の佐治寛氏)ため,利益は減少した(発表資料)。

液晶テレビは依然好調,「AQUOSが市場牽引」

 事業分野別で好調だったのは,液晶テレビや携帯電話機などの「AV・通信機器」で,売上高は対前年同期比11%増の5143億円,営業利益は同7%増の162億円。液晶パネルを扱う「液晶」事業も,売上高で同12%増の4032億円,営業利益で同4%増の311億円と好調だった。パソコンや複写機などの「情報機器」は,売上高こそ横ばいの2111億円だったが,営業利益は同9%増の121億円と増益に貢献した。

 液晶テレビの販売台数は対前年同期比56%増,売上高では同4割増という。「国内市場では,『AQUOS』のブランドが認知され市場を牽引する立場になったことが大きい。競合他社の製品より高い価格で販売できた。当社製品の平均単価の下げ幅は,この1年で1.5%にとどまっている。利益率も落ちることなく推移している」(佐治氏)と好調ぶりをアピールする。

 今後については,「32インチ型や37インチ型では,販売単価が1インチ1万円を切る水準まで単価下落が進んだので,単価下落は一段落するだろう。40インチ型以上の製品については,当面単価下落が進むと見ている」(佐治氏)という。

 液晶パネルについては,2005年春から亀山工場の生産設備を拡張しマザー・ガラスの月産枚数を2万7000枚から4万5000枚に増やした。2005年秋には,生産プロセスの見直しにより月産5万1000枚とする。「液晶パネルの需給は依然として逼迫した状態が続いている」(佐治氏)。

NOR型フラッシュ,単価が3割下落

 好調な液晶関連とは裏腹に,フラッシュ・メモリや撮像素子などの「IC」事業のつまづきは同社にとって誤算だった。売上高で同14%減の993億円,営業利益で同48%減の45億円と低迷した。フラッシュ・メモリの売上高は同28%減,撮像素子も同6%減と振るわない。「(シャープが手掛ける)NOR型フラッシュ・メモリは,NAND型との競合などの影響を受けている。販売個数こそ下がっていないものの,単価が3割下落した。64Mビット品,128Mビット品に対する注文は受けているが,採算が合わない状態にある。当初はもう少し採算性が良いと想定していたが,単価の下落が予想以上だった。複合メモリも厳しい」(佐治氏)とする。

 フラッシュ・メモリ部門の今後については,「製造を担う福山第4工場の設備では,90nmプロセスまでで限界である。微細化が65nm以下の水準に進むなら,外部のEMSの活用なども考えなければいけない。新しい種類のメモリが登場するまで,IC事業はシステムLSIやCCDなどでつないでいくことになるだろう」(佐治氏)との見通しを示した。

■国内企業の最新の決算はこちらからご覧いただけます。