新型iPodで動画を楽しむのもつかの間,分解班は本業の解体に取りかかった。筐体表側のプラスチックと裏側の金属部分の間に,テレホンカードを差し込み隙間を空け,さらにドライバを入れて徐々に筐体を外していく。
すっかり裸になったiPodを見ると真っ先に目に飛び込んできたのは,骨組みとして筐体を支える金属製のフレームだった。形状や色からみて,Mg合金を鋳造して形成したようだ。そのフレームに液晶パネルやプリント配線基板がすっぽりとはまるようになっている。液晶を大画面にしつつ筐体を薄くしたことで低下した強度を補うのが目的とみられる。プリント配線基板は,ビスではなく接着テープでフレームに固定されていた。衝撃の吸収を考慮してのことかもしれない。
プリント配線基板上には,既存のiPodと同じ米Portal Player, Inc.のオーディオLSIが搭載してある。型番は「5021C」。「iPod nano」と同じである。そのそばには,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.のシンクロナスDRAMと,米Broadcom Corp.のマルチメディア・データの処理に向けたLSI「BCM2722」が実装してある。Broadcom社のチップは,動画コンテンツの処理を担うものとみられる。データシートによると,例えばVGAサイズの動画像のMPEG-4方式の符号化を30フレーム/秒で実行できるようだ。
2次電池は金属筐体に接着剤で固定されている。外してみると三洋ジーエスソフトエナジー製のLiイオン2次電池であることが分かった。