キヤノンは,同社のデジタル・カメラおよびデジタル・ビデオ・カメラのCCDの一部に不具合があると発表した(ユーザーへのお知らせ)。撮影画像が乱れる,または映らないなどの症状が現れることがある。

 発生原因については,ソニーが発表したCCDの不具合(Tech-On!関連記事)とほぼ同じで,「特に高温多湿の環境下で保管または使用したときに,CCD内部の配線接合個所が外れる場合がある」というものである。CCDは外部調達したものという。同社は,CCDの配線接合箇所の外れが確認された製品については,無償でCCDを交換する。

 対象機種は,2002年夏から2004年前半にかけて発売された製品のうち,デジタル・ビデオ・カメラ6機種,デジタル・カメラ8機種である。当時キヤノンのデジタル・カメラの中でトップレベルの販売台数を誇った「PowerShot A60」や「PowerShot A70」なども含まれる。同社は,対象となる機器の個別の出荷台数については明らかにしていない。

原因は紫外線硬化樹脂か

 ソニー,日本ビクター,富士写真フイルム,キヤノンと,連鎖的に広がるCCDの不具合。相互の関連性はいまだに明らかになっていないが,ある技術者は「2003年ころにCCDメーカーに広く普及していた,硬化速度が速い紫外線硬化樹脂が関連しているのでは」と語る。

 CCDは,撮像部を包む中空構造の樹脂製パッケージの上にガラスを張り付けた構造をとる。このときパッケージとガラスを張り付ける接着剤に用いるのが紫外線硬化樹脂である。関係者の話を総合すると,今回のCCDの不具合は以下のようなメカニズムで起きたのでは,と推測できる。まず,接着面がわずかに剥がれて外気に触れると,外気に含まれる水蒸気が紫外線硬化樹脂に含まれるヨウ素化合物と結合し,金属を腐食させるガスを発生させる。このガスが撮像部のボンディング・ワイヤに到達し,接合部の合金を腐食させてしまう。

 2003年ころから,この紫外線硬化樹脂が原因でボンディング・ワイヤの接合が外れてしまう危険性については,既に一部の技術者の間で話題になっていたという。

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