キヤノンがインク・カートリッジの再利用を巡り,リサイクル・アシストを控訴していた審理が知的財産高等裁判所(知財高裁)の特別部(大合議部)で始まることが決まった。大合議部の審理は11月4日の10時から行われ,「おそらく年内には判決が言い渡される」(リサイクル・アシスト側の弁護士である上山浩氏)としている。

 知財高裁の大合議部は,通常3人で行う裁判を5人体制に変えて審議し,短期間での判断が必要な重要な案件に対処している。2005年9月30日には,いわゆる「一太郎訴訟」についてジャストシステムの逆転勝訴となる判決を言い渡している(関連記事)。

 そもそも今回のインク・カートリッジの再利用を巡る係争は,キヤノン製インク・カートリッジにインクを詰め直したリサイクル品を中国から輸入販売しようとしたリサイクル・アシストに対して,2つの特許侵害があるとしてキヤノンが販売差し止めを求めていたもの。

 ところが,東京地方裁判所は「インク・カートリッジのリサイクル品は生産に当たらず,特許を侵害しない」とする判決を2004年12月に下したため,キヤノンがただちに東京高等裁判所へ控訴していた(関連記事1関連記事2)。