米Google Inc.が,無線LANサービスへの進出を計画していることが明らかになった。同社は,米カリフォルニア州サンフランシスコ市政府に対して,無料の無線LANサービス構想を2005年9月30日に提案した。

 Google社の提案は,サンフランシスコ市政府が主導する無線LANサービス構想「TechConnect」を受けたもの(発表資料)。サンフランシスコ市政府は,2005年8月16日に行ったこの発表から45日間を期限として,TechConnectを実現するためのサービス提案を募集していた。Google社はこの構想に対して,同社のサービス計画を提案したもの。Google社は,サービス計画の内容を公式には明らかにしていない。ただし米国のニュース・サイトなどの報道によれば,ユーザーからの料金徴収は行わないかわりに,広告収入を得るビジネス・モデルを想定しているもようだ。

 TechConnectにおける無線ネットワークの条件は,2.4GHz帯利用の無線LAN規格「IEEE802.11b/g」を使い,全市の95%(屋外)および90%(屋内)のカバレッジを実現することである。データ伝送速度の要求では,上り方向および下り方向の両方で,平均1M/ビット秒以上を要求していた。米国のニュース・サイトなどの報道では,Google社の提案は締め切り日である9月30日の17時に提出されたもよう。Google社以外にも,米EarthLink,Inc.など約12社から提案が届いているという。このため,Google社の提案が受託されるかどうかは不明である。

 Google社によれば,今回の提案はサンフランシスコ市に限っており,他の都市で事業化する予定は今のところないと言う。同社の広報部によれば,「サンフランシスコ市の無線化へのサービス提案は,我々の周辺コミュニティを支援する一つの手法と考えている。加えて今回の試みによって,新しい位置情報アプリケーションおよびサービスの提供に関する実験場を得ることができる可能性もある。それは例えば,ユーザーが今まさにいるその場所と時間において,最適な情報を見つけだすことを可能にする,といった手法などである。この計画に向けて開発したサービスは,いずれ弊社のユーザーとパートナーに利益を与えることになる」とする。

 Google社の無線LANサービスへの取り組みに関してはこのほか,2005年9月に同社WWWサイトにおいて,無線LAN上で暗号化された接続を確立するための「Google Secure Acess」と呼ぶパソコン向けソフトウエアを公開していたことも明らかになっている(同Webサイト)。