地上デジタル放送などを受信するテレビやチューナの出力インタフェースとして,DTCP-IPを利用できることになった。デジタル放送の運用規定として昨日(2005年9月29日)に電波産業会(ARIB)で承認されたもの。デジタル放送で提供されるHDTVコンテンツを,家庭内でIP伝送することが可能になる。

 今回の運用規定では,DTCP-IPの運用として,放送受信時には(1)クライアントの数は8個まで,(2)同一のサブネットに限る——という制限を設けた。(2)については,IP伝送できる範囲を家庭内に限るために,DTCP-IPが決めたTTL(time-to-live:IPパケットが通過できるルータの残り数)やRTT(round trip time:1つの通信パケットが送信元から送信先まで行き,再び戻るまでに要する時間)の制限を補強するものと位置づけられそうだ。いったんHDDなどに蓄積したコンテンツについては,コピー・ワンスに基づく運用が適用される。

 ホーム・ネットワークの仕様としては,DLNAなどのガイドラインが有力になっているが,IP伝送を前提にしている。従来のARIBの運用規定ではIP伝送が可能なHDTVコンテンツの出力インタフェースに関する規定がなく,デジタル放送番組は蚊帳の外にならざるを得なかった。DTCP-IPの出力インタフェースが追加されたことで,デジタル放送受信機をDLNAに基づくホーム・ネットワークの構成機器として組み込むことが現実的になる。