ソニーの液晶テレビ「KDL-L40HVX」
ソニーの液晶テレビ「KDL-L40HVX」
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 ソニーは,同社が2004年9月から販売したテレビ受像機の一部機種が,電気用品安全法で定める技術上の基準を満たしていなかったことを明らかにした(ユーザーへのお知らせ)。同社は「通常使用においては問題がないことを確認した」ことから,購入したユーザーに広く周知して無償修理を勧める,いわゆる「リコール」の適用は見送る。ただし,店頭の商品については部品の交換を行うほか,ユーザーが希望すれば部品の無償交換などの措置を取るという。

 対象となるのは液晶<ベガ>HVXシリーズ「KDL-L26HVX」「KDL-L32HVX」「KDL-L40HVX」と,ハッピー<ベガ>シリーズ「KDL-S23A10」「KDL-S26A10」「KDL-S32A10」の6機種,計19万台である。

2つの不適合が明らかに

 不適合となった基準は2つある。1つは,電源のEMI(電磁妨害)フィルタの中にあるコイルと接地電極を隔てる絶縁シートについて,厚さが基準に満たなかったこと。同法の基準では,コイルと電極との間が3.2mm未満のときには厚み0.4mm以上の絶縁シートを1枚張る,もしくは絶縁シートを複数枚張るよう定めている。今回のテレビ受像機ではコイルと電極との間が3.2mm未満だったにもかかわらず,絶縁シートが1枚で,かつ厚さが0.4mm未満だったという。実際に採用した絶縁シートの厚さについてソニーは明らかにしていない。

 もう1つは,電源の差込口の仕様について指摘された不適合である。差込口の仕様は電気用品安全法に基づき,申請が必要である。ソニーはある検査機関の検査結果を基に,電源の差込口を2芯と申請していた。しかしその後,別の機関が行った検査で3芯と判断された。この違いについてソニーは「検査機関の間での解釈の相違によるもの」(ソニーの広報部)とする。

 基準の不適合が見つかったのは2005年9月のことである。電子情報技術産業協会(JEITA)が,製品を買い上げて検査を行った際に発覚した。これを受けてソニーが当該製品を検査した結果,「安全上の問題はない」と判断,同法を管轄する経済産業省に届けたという。


<申し入れ>電源ケーブルの差込口が不適合だった件について,ソニーより3度の申し入れがありました。当初の記事は「事務処理上のミス」としていましたが,正しくは上記の通りです。ソニー 広報部によれば「当社が製品の発売時に依頼した検査機関は『3つのピンのうち1つはEMI対策用であり,実質は2ピン』と判断し,我々は電源の差込口を2芯と申請しました。これに対して,製品の出荷後に検査を行った別の機関は『3つめのピンは接地電極とつながっている』として,3芯と判断しました。この解釈の違いにより,申請の内容と検査結果に相違が生じ,不適合と判断された次第です」とのことです。もう1つ,絶縁シートの件について,当初の記事は「コイルと電極との間を3mm以上に設計していた」としていましたが,ソニーより「正確には,コイルと電極が3mm未満になり得たので絶縁シートを1枚導入したが,厚さが0.4mm未満のものだったため不適合となった」との申し入れがありました。最後に「コイルと電極の距離は3mm未満ではなく3.2mm未満だった」「製品の買い上げ検査を行ったのは経済産業省ではなくJEITAだった」といった修正がありました。こうした申し入れに従い,記事を一部修正しました。