三洋電機は2005年9月28日,2005年7月から進めている経営再建の中期計画「SANYO EVOLUTION PROJECT」(Tech-On! 関連記事)の追加施策「プログラムα」を発表した。中期計画は2005年度から3年間の施策をまとめたものだが,同社の創業記念日である2006年2月1日を区切りとし,発表済みのリストラ施策の大半をそれまでに前倒しで断行する(PDF形式の発表資料)。

録画機はHD DVDに特化,テレビはCRTとリアプロに注力

 同社は今回の発表に併せ,2005年度通期の連結売上高を500億円,営業利益を470億円,純損失を480億円それぞれ下方修正することを発表した(PDF形式の発表資料)。低迷が続く同社にとって今回発表したリストラの前倒しは,業績悪化を早期に食い止め回復を早めたいとの思いが込められている。「中期計画ではスリム化,再構築,成長という3つのフェーズを定義した。しかし,いくら再構築と成長を考えても,スリム化をやらなければ再構築と成長は進められない。スリム化には時間をかけず,できるだけ早く実行する」(同社 代表取締役社長の井植敏雅氏)。

 今回示した主なリストラ策は次の通り。(1)3年間で予定している1万5000人の人員削減案のうち,2006年1月末までに1万人を削減する,(2)大阪府守口市の本社第1ビル,東京都台東区の東京本社ビル,すべての営業拠点のビルを売却または証券化する,(3)創業地である北條工場を含む6カ所の工場または工場跡地を閉鎖,売却する,(4)調達や物流体制の見直しにより,3年間のコスト削減額を当初計画の700億円から1700億円に引き上げる,(5)人事機能をグループ外にアウトソーシングする,(6)録画機器関連の事業のうちDVDプレーヤ,DVDレコーダ,VTR事業から撤退し,HD DVDに特化する,(7)テレビ事業について,海外ではリアプロとブラウン管に特化し,国内では販売事業を縮小し研究と商品開発に専念する体制を取る。

コア3事業は「冷熱」「電池・電装」「モバイル」

 リストラ以外の追加施策としては,グループの海外戦略や製品のデザインなどを担う「グローバル本社(Global Headquarters)」を東京都港区に新設し,現行の守口本社,東京本社と併せ3拠点体制とする。各事業部門に分散しているデザイン関連の従業員を集約し,グローバル本社内に200人体制のデザイン・センターを設置する。これにより,主に民生用機器の商品企画やデザインへの取り組みを強化し,ブランド・イメージの向上を図る。「三洋電機の連結売上高の半分は海外売上高である。しかし,三洋電機が本当にグローバル企業になったのだろうか。それは違うと思う。そのため,改革のテーマに掲げた」(井植氏)。

 今後は業務用を中心とした冷熱機器,2次電池やコンデンサを始めとする電池・電装部品,デジタル・カメラや携帯電話機などのパーソナルモバイル機器の3事業をコア事業と位置付け注力していく。2005年度における連結売上高の約2兆5000億円のうち,この3事業による売上高が約1兆4000億円である。これを,2007年度をめどに2兆円まで引き上げることを目指す。